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キル・ビル Vol.1(日本版) のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 キル・ビル Vol.1(日本版)
製作国米,日
上映時間113分
劇場公開日 2003-10-25
ジャンルアクション,コメディ,シリーズもの,犯罪もの,ヤクザ・マフィア,バイオレンス
レビュー情報
《ネタバレ》 皮膚を突き刺し血を吸う蚊、着火する銃弾、そして美しいユマ・サーマンのあまり美しくない外反拇趾。それらをシネマスコープの巨大スクリーンぎりぎりいっぱいに接写するタランティーノは、世紀のバカだ。かつてカンヌまで制したこのバカは憧れのルーシー・リューを起用したいばっかりに、カタコト日本語がせいいっぱいの彼女をあろうことかジャパニーズヤクザの女親分の座にゴリ押しし、異を唱える日本人代表としての田中の親分=國村隼の首をバッサリはねて片付けてしまう。ルール無用なこのバカはそうしてまさにユマ・サーマン扮する主人公×××よろしく、悪趣味なプッシーワゴンに乗って自らの信じる道をひたすらに危険な曲乗りで爆走するのだ。ブライアン・デ・パルマばりの分割画面だの、ダリオ・アルジェントばりの色彩マジックだの、深作欣二ばりのバイオレンスだのにはじまり、闘う制服美少女モノから梶芽衣子主演映画に至るまで、俺的フェイバリット・ムービーに節操なく熱烈なオマージュを捧げまくるバカ。そんな世界一幸福な映画オタクとしてこのバカな映画監督が描き出すのは、服部半蔵が寿司屋兼刀鍛冶としてOKINAWAに潜伏し、日本刀ホルダー付きのシートが用意された航空機AIR Oが首都TOKYOのネオン街を低空飛行するトンデモ大国ジパング。そして悪趣味で出鱈目でいてどこか魅惑的なこのパラレルワールドを孤高に勇往邁進するユマ・サーマンの姿だ。彼女はそんな異界におけるさらなる異物として、二重の孤独を抱えそこに立つ。その姿はバカバカしいけど美しい。『修羅雪姫』や『女囚さそり』のように「復讐」を美しく描くためには、卑劣な敵にも真っ向から臨む気高い志と生命を賭した文字どおりの死闘が必要なことを、このバカはバカなりに知っているのだ。たとえ18禁ゲームのような醜悪さではあっても、満身創痍になりながら人を斬るサムライ気取りのこの細長い白人女は、その暗い瞳にちゃんと梶芽衣子の魂を宿している。タランティーノはよっぽど梶芽衣子が好きなんだろうな、と思うと、ちょっと泣けてくるほどだ。(それなのにバカバカ言っちゃってごめんねタラちゃん。 でも一転、変態殺人鬼と同じレベルに堕ちて「復讐」を乱痴気騒ぎで楽しんじゃう最新作『デスプルーフ』は美しさのかけらもなくてただただ不愉快なだけだったよ。)
BOWWOWさん [映画館(字幕)] 9点(2009-11-29 01:44:37)(良:1票) (笑:1票)
その他情報
作品のレビュー数 485件
作品の平均点 6.19点
作品の点数分布
0102.06%
191.86%
2204.12%
3295.98%
4408.25%
56413.20%
66212.78%
79118.76%
88617.73%
95010.31%
10244.95%
作品の標準偏差 2.33
このレビューの偏差値 55.16
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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