Menu
 > 作品
 > ア行
 > ある貴婦人の肖像
 > アングロファイルさんのレビュー
ある貴婦人の肖像 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ある貴婦人の肖像
製作国英,米
上映時間144分
劇場公開日 1997-01-25
ジャンルドラマ,歴史もの,ロマンス,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 いや~、これは見ごたえがありましたね。
ただ、ヒロインのイザベルには、あまり魅力を感じません。もっとも、「若くて愚かな女性」の物語なので、それで正解なのでしょう。彼女は伯父の遺産相続後フィレンツェに渡り、オズモンドと出会って惹かれるわけですが、どこがよかったのか今ひとつよくわかりません。芸術家肌の彼が、自由人であるように思えたのかな?
このあたりまではまあ普通なのですが、二人が結婚し、以前イザベルに求婚したウォーバートン卿と、オズモンドの娘パンジーが出会うあたりから、俄然面白くなってきます。イザベル夫妻とウォーバートン、さらにはパンジーと彼女に恋するロジエのそれぞれの思惑が交錯し、微妙な人間関係・心理の綾が描かれて行きます。ここでイザベルはあちらこちらから板挟みになり、かなり苦しい立場に追い込まれます。ヒロインが共感を呼ぶような人物ならば、ここは見ているこちらも心苦しくなってきますが、なにしろ魅力のない人物ですから、感情移入することなく客観的に見ることができます。そうなってみると、この人たちの関係はかなり面白い。ローマにやって来ているイザベルの従兄弟ラルフも、いいアクセントになっています。このパートは本当にすばらしい。
やがて帰郷したラルフ危篤の報を受けたイザベルはイギリスに渡り、最後に二人の心は通い合うわけですが、ここで重要だと思われるのは、過去のラルフの行動。イザベルが遺産を相続したのはラルフが父親に進言したのだということを、彼女はすでに示唆されています。遺産相続の結果彼女は金目当てのオズモンドに引っかかり、不幸な結婚をするわけですから、元を質せばラルフが原因と考えられます。しかしそれでも彼に対する思いは変わらなかったわけですから、これは間接的にせよ自らの現状を認め、肯定したことになるのでは。となると、曖昧な終わり方をしていますが、やはりあのあとイザベルはローマに戻るのでしょう。もちろんそこには、暖かい団欒は待っているわけではありません。しかしイザベル自身には、少しは変化が起こっているのではないかと思います。
アングロファイルさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-10-25 11:22:19)
その他情報
作品のレビュー数 31件
作品の平均点 3.84点
作品の点数分布
000.00%
113.23%
2825.81%
3516.13%
4619.35%
5516.13%
6516.13%
700.00%
813.23%
900.00%
1000.00%
作品の標準偏差 1.67
このレビューの偏差値 64.97
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
ある貴婦人の肖像のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS