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嫌われ松子の一生 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 嫌われ松子の一生
製作国
上映時間130分
劇場公開日 2006-05-27
ジャンルドラマ,コメディ,ファンタジー,ミュージカル,ロマンス,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 人物は「何を好み、何を集めるか」で語ることができる。例えば自己紹介欄に「好きなxx」を列挙する。つまり、アイデンテティはレディ・メイドだ。『嫌われ松子』はこの認識を元に作られている。
一女性が、既製品の様々を選択して人生を作る話だ。中学教師というステータスはレディ・メイドだ。トルコ嬢というステータスも然り。
次元を縮小してみよう。デパートの上の遊園地も、流行っていた様々の歌も、レストランのホットケーキも、自分の大事な思い出はみんな既製品を選んだ思い出だし、自分を投影する相手も、自分が今日生きるためのつっかえ棒もみんな既製品だ。
既製品を「選んで」「集める」とき、商品のキャッチコピー・広告・一目でそれとわかるシンボルは大事だ。松子の周りがキラキラなのは、ひとえに松子がキャッチコピー・綺麗なモノが引き連れてる、イメージというものを追ってる消費者だからだ。
社会的事件というものも既製品だ。一度の事件でも多くの人が経験するから、ある種大量生産品だ。松子のキーホルダーにシンボライズされてる大阪万博のように。
こう考えると、松子が晩年にゴミを捨てずに(=集めて)ゴミ屋敷を作ること、そのゴミがカラスに変わって「無駄、無駄」と叫びながら松子を襲うエピソードは、重要な意味をもってくるのではないか。
また、映画自体、無駄に(失礼)有名キャストを集めて作られていることも、松子の一生のアナロジーみたいだ。
ところでこの映画は「逆シンデレラ・ストーリー」つまりあくまで御伽噺の一種である。
従って、主人公は観客みんなの受け皿で、つまり主人公の個人の内面なんざ描いてはいけないのだ。ところがこの映画は、「社会とうまくやっていけない個性の強烈さ」を描いている…と見せて、その実そんな個性なんかに興味はない、というウソを確信犯でやってるのである。そのウソがうまいので、「頑張って生きてるのになぜか社会の不適合者」を自称する我々観客に「あなたが不幸なのはあなたが悪いからじゃない。あなたが強烈な個性を持ってるからだよ」という癒しと、「強烈な個性の持ち主はいつだって不幸になるんだよ、ほら松子をご覧、これはあなただよ」というイコンとを同時に与えることができるのである。 うまいけどうさんくさい。
月世界婦人さん [映画館(邦画)] 4点(2009-07-28 13:47:37)
その他情報
作品のレビュー数 208件
作品の平均点 7.01点
作品の点数分布
000.00%
141.92%
273.37%
331.44%
4125.77%
52210.58%
6178.17%
74119.71%
85325.48%
92913.94%
10209.62%
作品の標準偏差 2.11
このレビューの偏差値 43.25
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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