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《ネタバレ》 原監督らしい、テーマが直球で伝わってくる作品でした。
アニメならではの表現はほとんどなし、コメディシーンもほとんどなしな上に、物語は中学生の自殺から始まり売春のシーンも出てくるという重い作品ですが、最後まで圧倒される出来映えです。 父親が「父さんも人間は嫌いだな」と言ったり、他人に無関心に見えても本当は弟想いの兄が主人公のために行動をしてくれたりする。登場人物がいい面ばかりを見せない人間くささが、なんとも愛おしい。 主人公が希望を見つけることができたのは、初めての友達ができたからということというのがいい。ただそれだけのことが主人公の心情を変えたのが伝わってきます。食卓で「同じ学校に行きたい」という涙ながらに語るのはたまらない。またこの友達が人間くさくて・・電車のゆかりの場所を一緒に歩くのは原作にないシーンらしいですが、重たい作中でほどよい清涼剤となっています。 ただ個人的に気になったのは、(佐野さんには謝ったけど)母親に謝るシーンと、援助交際をやめたのかどうかわかるシーンがなかったこと。 そういった罪や過ちを認めたりすることがないと、人を傷つけたりする悪いことをも容認しているように感じられてしまい、どうもすっきりしませんでした。もう少し細かい配慮が欲しかったというのが本音です。 でも監督のまなざしは優しい。「平凡すぎて・・」と主人公が語るシーンでは多くの方が自分にも当てはめて、考えることができる素晴らしいシーンです。誰にも思春期のころはいい子ばかりせずにどこか斜めに構えていたころがあると思います。そういう経験がある人たち、また今そのまっただ中の人たちにこのテーマは向けられています。 【ヒナタカ】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-08-23 22:28:27)
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