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《ネタバレ》 名前はよく知っていたが、この映画を味わったのはサントラとともに最近が初めて。この映画は青春グラフィティと、後にそれを懐かしんだりしたときに誰もが一度は経験するであろう、胸が締め付けられるような想いがテーマ。
近年の作品と比較して派手な描写はないものの、一つ一つの台詞に重みがあり伏線の答えが出る場面も深く噛み締めることができる。そして下町の映画館が人々のコミュニケーションの場であった時代、シネマコンプレックスなどしか知らない自分にとっては羨ましい場所である。村の人々が新旧のシネマパラダイスに集い笑ったり涙する様を見て『いいなぁ、自分もあの中で映画を見てみたかったな』とさえ思わせる。映画好きの人こそ一度は見るべき映画でこの映画の目指す方向がわからなかった人は、色んなことを経験して何年か後にもう一度見れば、故郷へ帰ってきたトトのように何か見つけられるかもしれない。 序盤、シネマパラダイスから締め出された客達のために、向かい側の白い建物をスクリーン代わりにして映画を写すシーンは映画史上に残る名シーンのひとつであり、言葉にしても伝えきれないほど胸を打たれた。 そして最後にアルフレードがトトに残した映画のラブシーンをつなぎあわせたフィルムは、トトを映画の道へと歩ませエレナとトトの恋路を結果的に潰してしまったアルフレードの贖罪が込められているのかもしれないし、エレナとの恋に破れて気持ちの行き場がなくなった新天地を目指すトトにアルフレードが送りたかったエールを形にしたものかもしれないと感じ、涙が出た。 映画にライフワークを見出した男が自分と同じ道を選んだ男に宛てて言葉ではなく敢えて映画を通じたメッセージ、粋じゃあないですか。 【シバラク・オバマ】さん [DVD(字幕)] 10点(2011-12-20 21:54:04)
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