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《ネタバレ》 16歳で望まない妊娠し出産するまでを描いた現代風の映画として観ると強烈に不満な出来の映画ですが、少女が愛を見出すまでを描いたコミカルな青春映画として観れば、そこそこの出来だと思います。終了15分前までは前者の映画とみなして耐え忍ぶ鑑賞を続けていましたが、里親となるはずだった夫婦が離婚する場面を目撃し、ジュノの父親に向かって「愛し合う2人が永遠に一緒にいることはできないのか」と問い、「外見や性格ではなく、自分にとっての太陽だと言ってくれる人と一緒になりなさい」と諭す場面でやっとこの作品がのみこめました。軽いノリでセックスをしたため、事の以前に意識するはずだった恋に本気になるのはクールではないと決め込んでいたジュノが、自分に宿った新しい命と9ヶ月間過ごすことで、恋と「誰かと一緒にいること」が一気に結びつく場面です。ジュノは出産し、里親となるはずだった夫婦の離婚した妻に子を渡し、お腹の子の父親とよりを戻しめでたくハッピーエンド。恋をしている自分を認め、その思いを伝えることでひとつ強くなれた姿をサブカル感溢れる音楽に載せて贈る青春映画です。でもなんだかなぁ。それを語るための装置として望まない妊娠と養子縁組をフィーチャーするからには相当の覚悟ありやと思いきや、全編に渡るあっけらかんとした軽さは何なのでしょう。シリアスなシーンになるかと思うとすぐに軽妙な音楽が掛かって場面転換。ここまで徹してライトに描く必要が全く理解できません。昨夜見た韓国のドキュメンタリーで、抗がん剤の痛みに耐えながら末期がんのシングルマザーが2人の幼い子供を必死に育てる姿を観たせいか、ジュノというタランティーノばりにしゃべり続ける皮肉屋女子高生のその場をやり過ごすための空疎な言葉の連なりは当事者感が欠落していて、とても比べられるものではありませんでした。
【さめがい】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2011-03-26 22:58:22)(良:1票)
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