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《ネタバレ》 隠された謎をめぐるミステリーは映画向きではないというのは、あのサスペンスの巨匠ヒッチコックの言葉だが、それは、映画は見せてナンボだから。それをよく承知してこの映画は、謎解きをする船越がつねに画面を占めるというふうにはしないで、むしろその姿は画面から消えていく。そして、ほんらいの物語が展開したのち詰めの段階で、その物語の展開をすべて観ていたかのように事情に通じている船越がまた登場するというかたちにしている。なるほど「見せて」はいるのだが、サスペンス(宙吊り)のハラハラ感が足りない感じだ。以上ミステリーとサスペンスの違いを言おうとしたのだが、この作品は適例ではないのかも知れない。さて、問題はもっと別のところにあって、ミステリーが映画向きではないのは、人間描写に厚みがないからだ、と言っておこう(そもそもあの松本清張のヒロインたちが機能化されたものだった)。機能化された平板な人間像をミステリー小説的にはゆるせても、映像的には生身の人間として映る分いかにももの足らないことになってしまう。
【ひと3】さん [映画館(邦画)] 4点(2011-03-08 22:24:23)
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