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《ネタバレ》 多襄丸が武士の妻を手籠にし、武士が死んでしまうという事実に対する当事者三人の三者三様のアプローチ。多襄丸目線、武士の妻目線、武士(巫女が代弁)目線のそれぞれの『真実』、どれも自分に都合のいいようなストーリー、でも、わからない、だれが正しいか。それこそが原作のウリであり『藪の中を』読んだ時は、こんなこと(あえて言うなら投げっぱなし)があるんだ!と感心したものです。ところがこの映画では三人の告白のあとに杣売り(事件の目撃者)が事の顛末を語り、それぞれの醜いやりとりを白日のもとに晒してしまいます。そして人間のエゴを糾弾する杣売りもまた、後ろ暗さを抱えている…が、最後の最後は希望をもたせたラスト!という流れで結ばれています。この脚本はともすれば原作の主旨を大きく逸脱しているともとれなくはないですが、映画というエンタテインメントの視点からみれば、実によくできた脚本ともいえると思います。小説には小説の余韻、映画には映画の希望がありました。
【ろにまさ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-04-20 10:03:46)
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