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《ネタバレ》 最初見たときのラストの衝撃は大きかった。ひどい、むごい、切なすぎる。平ちゃんになりきって見ていた私には、とても耐えられなかった。1発でなく2発殴らせてくれと言った気持ちが痛いほど伝わってきた。
しかし、2度3度と映画を見直していくうちに、私のこの映画への思いは変わった。あれ(ラストシーン)は、究極の選択だったのだ。夫を愛するが故に「自分は直子であり、藻奈美として生きていくのだ」というやむにやまれぬ思いを伝えたかったのだと思うようになった。 妻でありながら身体は娘、このギャップは最初のうちはそれほどでもなかった。外では藻奈美として振る舞い、家庭では直子として夫に尽くす、その二重生活を演じればよかった。 しかし藻奈美としての直子が、大学に入った頃からどうしようもできなくなってくる。夫は電話に盗聴器を仕掛け、大学の先輩の前に割って出たりもした。妻は藻奈美の身体でありながら、夫に身体をまかせようとすらした。それでもギャップは縮まらない、ますます広がるばかりだ。 夫が「俺の直子はどこへ言ったのだ」と悲嘆にくれたとき、妻は完全に娘になりきることを決意したのだと思う。結果的には夫をだますつらい選択だったが、どうしようもなかったのだと今になって思う。 最初に見てから数年を経た今、ようやくこの映画の真価を感じる。ストーリーも描写もとてもすばらしい映画だ。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 9点(2011-08-26 04:36:12)
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