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《ネタバレ》 松本清張の作品は、私は映画もたくさん見て、小説もたくさん読んだ。小説「砂の器」は、「点と線」「ゼロの焦点」「霧の旗」など彼の代表長編と較べて、決して優れているとは思わないし、どちらかと言うと地味な小説である。
しかし映画「砂の器」は、まちがいなく松本清張の中の一番のできばえではなかろうか。もしかすると日本映画のトップクラスと言っても過言ではないだろう。 映画は、こつこつと捜査の過程を積み重ねていく。そして犯人を追いつめた時、そこで御用でお終いでなく、それからとうとうとなぜ事件が起こったのかを映像と音楽によって流していく。主人公の生い立ちやライ病への偏見、ひどい仕打ちによって諸国を行脚するつらさ・・・。それが日本の美しい風景や四季と相まって情感を盛り上げていく・・・。 また丹波哲郎の捜査状況説明と加藤剛のピアノ演奏を重ねることでさらに盛り上げる。このような手法は、小説では絶対にできないこと、映画ならではである。 この映画はサスペンスやミステリーではなく、人間ドラマなのだと思う。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 9点(2011-02-15 22:34:59)(良:2票)
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