Menu
 > 作品
 > ヤ行
 > 柔らかい殻
 > tottokoさんのレビュー
柔らかい殻 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 柔らかい殻
製作国
上映時間95分
ジャンルドラマ
レビュー情報
《ネタバレ》 神々しいほどに美しい映像と構図、でも気が遠くなるほどに救いの無いストーリー。画と話の両軸がかけ離れているが故に強烈に記憶に残る一本。
大人側の世界、まあ見事なまでに陰気な材料ばかりだ。荒んだ母親、焼身自殺の父親、兵役から帰還した兄は原爆症の疑いが濃く、そのうえ子供が被害者の連続殺人が発生するときたもんだ。
大人が全員暗い目をしている。なんで誰も彼もがどうかしちゃってるんだろう。ぶつぶつ言いながら道を往く二人組のおばさんは勘弁してほしいくらい怖かった。
病んでる大人の世界は子供の無垢なフィルターを通すと様子は違ってくる。ヤバイ未亡人は吸血鬼で、白蝋化した誰かの中絶胎児は天使なのだ。セスにとってはそうなのだ。自分の世界が優先するから大人の浮き世の騒ぎはピンと来ないんだ。警察に目撃した車のことを言うことなんかより、兄を吸血鬼から守ることの方が断然大事なことなのだ。
だけどラストにフィルターは崩壊し、現実のその意味が降りかかる。8歳の子が悟るその残酷なこと。
シュールで苛烈なまでの不条理が金色の小麦畑に展開する。美しくて怖い白昼夢のようだ。
tottokoさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-04-26 16:55:22)
その他情報
作品のレビュー数 12件
作品の平均点 6.92点
作品の点数分布
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
418.33%
518.33%
6216.67%
7325.00%
8433.33%
918.33%
1000.00%
作品の標準偏差 1.38
このレビューの偏差値 55.67
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
柔らかい殻のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS