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《ネタバレ》 1921年、ニューヨーク。戦禍を逃れ、祖国ポーランドから着の身着のままの姿でアメリカへとやって来たエヴァとその妹マグダ。不安を抱えつつも姉妹は新たな地で幸せな生活を夢見て税関に並んでいた。だが、長い劣悪な船旅から妹は深刻な肺病を患い、そのまま施設に半年間の隔離を言い渡されてしまう。そしてエヴァ自身もまた身元引受人の不備から、強制送還を宣告されてしまうのだった。八方塞がりの状況に絶望に暮れるエヴァ。そんな彼女を救ってくれたのは、見ず知らずの紳士、ブルーノだった――。戸惑いながらもエヴァは、ブルーノに言われるまま、彼の職場へとやって来る。そこは彼女のような行き場のない女たちがたむろする怪しげな劇場だった。そう、ブルーノは、表向きは多数の踊り子たちを擁する興行主でありながら、その裏では女を違法に男どもへと斡旋する女衒だったのだ。最初は拒否反応を示すエヴァだったが、行くところもお金もなかった彼女は、妹を救うために仕方なく最初の客を取らされることに。やがて彼女は幾多の男どもを手玉に取る美しき娼婦へと変貌してゆく…。激動の時代に、過酷な運命に翻弄される一人の可憐な女性エヴァの苦難に満ちた人生を描いたラブ・ロマンス。男たちの欲望と愛情を一身に惹き付ける娼婦エヴァ役には、フランスの人気女優マリオン・コティヤール。あくまで商品として女たちを扱いながらもやがてエヴァの魅力に心を掻き乱されてしまう女衒役には、最近ノリにノッている実力派ホアキン・フェニックス。彼とエヴァを取り合う奇術師役として、ジェレミー・レナ―も出演しております。この時代に多くいたであろう、こんな生き方しか出来なかった女性の悲哀は充分描けていたと思います。何よりマリオン・コティヤールの何処か陰のある美貌がこの役にぴったり嵌まっておりました。いやー、男って自分でも馬鹿だなぁと分かっているのですが、こーゆー陰のある可哀そうな女性に否応なく惹かれちゃう生き物なのです。身体だけじゃなく、彼女の心も俺色に染めあげたい――。そんな身勝手な欲望によってどんどんと身を持ち崩してしまうブルーノの心境は、男としてけっこう分かる(笑)。まあ、彼らの三角関係の描き方が浅はかだとか、ラストが幾分か中途半端だという欠点も大いに目に付く作品なのですが、僕はこの時代掛かったメロドラマを充分堪能できました。あと気になったのは、画面が終始セピア調だったこと。この時代の空気を表すためなのだろうけど、ちょっとやり過ぎ感が…。あまりにも画面が黄色過ぎて、全員アジア人に見えたぞ(笑)。
【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 7点(2020-03-18 02:02:55)
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