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《ネタバレ》 イギリスのノーベル賞作家キプリングによる児童文学の古典『ジャングル・ブック』を最新のCG技術を駆使して実写化した作品。ディズニーのアニメや最近の同社による実写化などでもお馴染みのこの名作を再映画化するにあたり、制作者がそれらと差別化するために採用した手法、それはとても児童向けとは思えないほどのリアルな描写だろう。CGで再現された動物たちはどれも妙に生々しく、ただ可愛いだけだった過去作とは一線を画している。特にどの動物たちの回りにも常に蠅が飛び回っている演出には目から鱗だった。そう、確かにインドやアフリカの野生動物の回りには常に蠅がたかっているものなのだ。決してキレイごとでは済まされない、野生の世界に生きることの真実がここに象徴されている。その当たり前の事実に改めて気づかさせてくれたこと、それだけでも本作は素直に観て良かったと言えるだろう。主人公モーグリが、悪役であるトラに傷を負わせられるシーンもかなりグロテスクで、その踏み込んだ表現手法は――賛否は別にして――一見の価値はある。キプリングが本当に目指したのは、もしかするとこういう世界観なのかも知れない。ただ、肝心の内容の方は正直いただけない。全体を通して、あまりにも脚本が取っ散らかりすぎているのだ。主人公モーグリも彼の仲間である動物たちも敵であるトラやハイエナも誰も彼もがいったい何がしたいのかがさっぱり分からない。そこに現地の先住民やイギリスの冒険家、さらには人間を憎むゾウなども絡んできて、クライマックスなどもはや完全に破綻していると言っても過言ではないだろう。CG表現に力を入れるよりも前に、まずはしっかりと脚本を練るべきであった。前述したとおり、その映像表現には目を見張るものがあっただけに残念だ。
【かたゆき】さん [インターネット(字幕)] 5点(2020-05-28 03:46:18)
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