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《ネタバレ》 古代の象形文字を専門とする言語学者、アルマ・フェルザー。ベルリンの博物館で寝る間も惜しんで働いていた彼女はある日、上司からとある提案を受ける。それは研究資金を調達するため、ある民間企業が実施する極秘プロジェクトにモニターとして参加してほしいというものだった。気乗りはしないものの資金調達のため、その企業が主催するディナーパーティーに参加したアルマ。すると彼女の前に、非の打ちどころのない完璧な容姿を持つ男性トムが現れる。初対面にも関わらず、トムはアルマに酒を勧めると、甘い言葉を囁きながら積極的に口説き始めるのだった。彼の正体は、最新の高性能AIを搭載した恋愛型アンドロイド。そう、トムは全ての女性の理想の男性像を基に造られた、〝完璧な彼氏〟だったのだ――。3週間という約束で、トムとともに共同生活を始めたアルマ。最初は余りにも人間離れした言動を繰り返す彼に戸惑いを隠せない彼女だったが、仕事で重大なミスが発覚ししかも離婚した元夫の再婚という事実も重なって大きなストレスを抱え込んだアルマは、次第にトムに心を許してゆく……。昔からホントよくあるお話で、演出だって極めてオーソドックスなのに、何だろう、普通に面白かったです、これ。とにかく品が良くておしゃれ!ヒマさえあれば女性に甘い言葉を囁いて口説き始めるアンドロイドという、人によっちゃ見るに耐えなくなりそうなこのキャラクターが実にいい味出してる。バラの浮かんだ泡だらけのお風呂にワインをくゆらせながら浸かるオールバックのハンサムさん……、普通にしたら寒さマックスになりそうなこのシーンがちゃんと成立しているんだから凄い(笑)。最初は反発していた主人公が次第に彼に心惹かれてゆく描写も丁寧でちゃんと説得力が感じられるのも大変グッド。悪酔いして自暴自棄になった主人公がトムに「もう何でもいいから私を抱いてよ!」と詰め寄ったのに、彼が「ムードもタイミングも今じゃない、おやすみ」と部屋を出てゆくシーン。「もっと自分を大事にしなよ」ってことですか。さすが高性能AI、女心をよくわかってらっしゃる(笑)。ここらへん、女性監督ならではの視点が冴えてますね。最後、モニター期間を終えて施設へと帰ってゆくトムをアルマが窓から見送るシーンなんてなんとも切なく、もはや彼がアンドロイドであることも忘れて「アルマ、今すぐ家を出て彼を追っかけろよ!」と心の中で叫んじゃったし。愛に傷ついた中年女性の心の機微を繊細に描いたラブストーリー。自分もこーゆー「完璧な彼女」が欲しいと思っちゃいました。誰か作ってーー。
【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 7点(2023-04-05 08:31:28)(良:1票)
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