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《ネタバレ》 作家としてデビューしたもののなかなか2作目が書けず、以来6年もスランプに陥っている売れない小説家、ジェームズ。出版社の社長令嬢である妻のおかげで食うには困っていないものの、そろそろ新作を書かなければ作家として終わってしまう。なんとかアイデアを得ようと妻とともに高級リゾート地である南の島へとやってきたジェームス。彼はそこで自分の大ファンだという若い女性ガビと知り合う。すっかり意気投合したジェームズは、誘われるままともにディナーを楽しむことに。次の日、観光客は立ち入り禁止だという島の奥へとドライブに出かけるジェームスたち。だが、その帰り道、酒を飲んで運転していたジェームズは地元住民を轢き殺してしまうのだった――。島の法律では、人の命を奪った者は有無を言わさず死刑。ところが彼を拘束した警察官は、ジェームズに驚きの提案をしてくるのだった。観光客である外国人には特別な法律があり、多額の費用を払えば、なんと彼の精巧なクローンを作成し身代わりとして処刑することも出来るというのだ。藁をも縋る思いで義父に資金を用意してもらうジェームズ。果たして彼の運命は?監督は、グロ映画界の巨匠を父に持つブランドン・クローネンバーグ。いやー、親子ともども相変わらずグロいですなぁ。ただ、ブランドン君の映画は遥か昔にデビュー作を観たのだけど、そちらはただただグロいだけでストーリーの方はグダグダ。正直見るに堪えませんでした。でも本作、ちゃんと最後まで集中して観られたので普通に成長したんじゃないでしょうか。まぁ突っ込みどころは鬼のように満載ですけど、人の不安感を煽る映像と音楽、神経を逆なでするかのような胸糞悪い物語、そして何より神経症のような独自の世界観に自分は最後までけっこう釘付け。まぁそんな高度なクローン技術があるならもっと再生医療やら労働力問題やらで役立てた方がよっぽど国の発展に役立つやん!!という、子供でも分かる突っ込みどころはご愛敬ですけどね(笑)。内臓ドバドバや顔面崩壊、子供がナイフで人の腹を裂いたり等けっこうヤバめのグログロ映像連発なのに何処か品の良さを感じさせるのは、この監督のセンスがなせる技。何が真実で何がフェイクなのか次第に分からなくさせる迷宮的シュルレアリスムな世界観も見応えありました。何よりミア・ゴスちゃんの存在感よ!!こんなイカレたサイコ女なのに、どこか可愛さを感じさせるのは彼女の持って生まれたカリスマ性によるものが大きい。僕も彼女に精神的にも肉体的にもボコボコにされたいです(ドM!笑)。イカレタ人たちが織り成すとにかくぶっ飛んだ物語に頭がくらくらしながらも、人のモラリティを根底から揺さぶる知的好奇心に満ちた佳品であったと思います。7点!
【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 7点(2025-06-24 10:40:20)
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