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ピアニスト のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ピアニスト
製作国仏,オーストリア
上映時間131分
ジャンルドラマ,ラブストーリー,音楽もの,エロティック
レビュー情報
《ネタバレ》 「私は音楽一筋で生きてきたわ。覚えておいて、私には感情も欲望もないの。あるとしても、必ず最後は知性が勝る」――。保守的で厳格な母親と2人で暮らし、ほとんど恋愛経験もないまま、これまでずっと独身を通して生きてきた40過ぎの生真面目な音楽教師エリカ。それでも抑えきれない性欲を満足させるため、一人で個室ビデオ店でポルノを鑑賞したり、他人のカーセックスを覗き見ながら放尿したりという、誰も知らない秘密の顔を隠し持っていた。そんな空しい日々を過ごすエリカの元にある日、情熱的な青年ワルターがわざわざ自分にピアノが習いたいと申し出るのだった。いかにも軽佻浮薄な現代の若者といった彼に最初は反発を覚えた彼女だったが、授業を進めていくうちに突然愛の告白をされてしまう。あまりのことに戸惑いを隠せないエリカ。そのことをきっかけに、エリカの心の奥底に溜め込んだ暗い澱のような感情と欲望が徐々に暴走しはじめるのだった……。恋愛にもセックスにも、まして男にもなれていない、そんな誇り高き中年女性エリカの愛と性欲とプライドがいびつに交錯する、いかにもミヒャエル・ハネケ監督らしい歪んだラブストーリー。この監督の作品は何作か観てきて、その人間の酷い感情や欲望、理不尽な暴力を圧倒的な負のエネルギーで映像化する作風には心底うんざりさせられることもしばしばだけど、それでもその高い芸術性は認めざるをえないので、カンヌで初のグランプリを取ったという本作を今回鑑賞してみました。うん、相変わらず鬱ですね~~。もう最後まで絶対に人に見られたくないような自分の恥部を、これでもかこれでもかと見せ付けてくるような暗鬱極まりない作品でございました。愛する青年のモノを欲望のままに咥えたものの馴れていないせいで思わず吐いちゃったエリカが、怒った青年に「お前、口が臭いんだよ!」と追い出されふらふらになりながら歩いて去るシーンなんて、あまりにも鬱過ぎて見てるこっちが吐きそうです(笑)。人間なんて芸術だなんだと言いながら、一皮向けば誰しもこんなもの……、なんという絶望的でシニカルな思想に貫かれた映画なのだろう。それでも、最後にエリカの取った行動には、微かだけど(本当に本当に微かだけど!笑)感情よりも知性が勝った人間の高尚な姿を見たような気がします。
かたゆきさん [DVD(字幕)] 7点(2014-07-15 21:27:51)
その他情報
作品のレビュー数 92件
作品の平均点 6.08点
作品の点数分布
033.26%
144.35%
222.17%
333.26%
499.78%
51213.04%
61415.22%
71920.65%
899.78%
91314.13%
1044.35%
作品の標準偏差 2.45
このレビューの偏差値 51.54
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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