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シティ・オブ・ゴッド のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 シティ・オブ・ゴッド
製作国ブラジル,仏
上映時間130分
劇場公開日 2003-06-28
ジャンルドラマ,犯罪もの,青春もの,実話もの,小説の映画化,バイオレンス
レビュー情報
《ネタバレ》 舞台はブラジルのスラム街「神の街」。
これまで観たギャング映画とは、印象が違う。
ギャングやヤクザ映画を観た後は、役に自己投影して、肩で風を切って歩きたくなる。
それは、どこかカッコよくて、憧れる部分もあるからだ。
けれど、この映画にはそれがない。

声をかけた女に相手にされず、ヤツ当たりでその恋人に絡んで屈辱を与える。
気に入らない奴をぶちのめし、欲しいものは力づくで奪う獣たち。
まるで、北斗の拳の無法者たちのよう。
カッコいいアンチヒーローではなく、質の悪いチンピラなのだ。
暴力は子供にも蔓延しているから始末が悪い。
自分の欲望を満たすために、笑って引き金を引く。
そこに命の重さは微塵もない。
絶対にこんな世界には入りたくないと思うほど、あまりにすさんでいる。

悪さをする少年グループへの懲らしめで、捕まえた子供をゲームのようにいたぶりながら、配下の子供に殺させるリトル・ゼ。
リトル・ゼは、人を片っ端から殺してボスの座に上りつめた。
一方、リトル・ゼへの復讐のため、罪のない人は殺さないという条件で、対立グループに入るマネ。
そんなマネも、強盗中に歯向かった警備員を射殺してしまう。
結局、リトル・ゼは少年グループに蜂の巣にされ、マネも警備員の息子に射殺される。
報復が繰り返され、勝者のいない争いがむなしい。

ただ、重苦しい映画にはなっていない。
苛酷な現実をリアルに描き出しているが、不思議なほど明るく軽いタッチで仕上がっている。
カメラマンになった主人公からは、不幸な過去の影は見えてこない。
ひたすら、「生きる」ことに集中している。
命が虫けらのように扱われる中で、生きることが光を放つ。
自殺者が毎年3万人を超える平和ボケした日本とは、何もかもが対照的に見える。

巧みな構成と、センスの良い映像には感心させられた。
登場人物を紹介する際、時間軸を前後させて、効果的なエピソードを挿入している。
いくつもの話を巧みにリンクさせ、散漫な印象を与えず、一つの物語として収束させる手腕は見事。
飛鳥さん [DVD(吹替)] 9点(2012-12-13 20:15:20)
その他情報
作品のレビュー数 260件
作品の平均点 7.92点
作品の点数分布
000.00%
110.38%
210.38%
372.69%
441.54%
572.69%
6218.08%
74216.15%
86324.23%
97930.38%
103513.46%
作品の標準偏差 1.68
このレビューの偏差値 53.83
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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