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《ネタバレ》 昔、テレビで観たときはおっかなびっくりだった記憶が。
ラストシーンの意味もわかっていなかった。 観直してみると、人間の本質的なものを描いた中身の濃い映画。 見世物小屋での動物並みの扱いと、病院での待遇は天と地の差。 やっと人間らしい生活を与えられたとき、金儲けを企む病院警備員の手引きで見物客が病室に潜入したシーンは胸が痛い。 心優しいメリックを弄ぶ醜悪な人間たちに殺意さえ沸く。 ただこの見物客と、劇場でスタンディングオベーションする客との間にどういう差があったのか。 同じ人間でも、その状況次第でどちらにでも転んだように思える。 エリックをからかって追い回した少年たちも、たいした罪の意識もなくやっていることが残酷で、イジメの構造の一端を見る思い。 病院の会議で、化け物の世話など論外だと追放を強硬に主張していた評議委員が、女王の親書に黙って意見を変えるのが痛快。 嫌悪感を露にしていた師長の変化と、メリックを脱出させた見世物小屋の仲間の温かさも心に染みる。 メリックは初観劇の興奮が覚めやらぬ中、大聖堂の模型を完成させて、安らかな死の床に就いた。 これ以上の幸福は望めないという思いもあっただろう。 その選択の裏に、いかに苛酷な生活を強いられてきたかがうかがえる。 死によって、地獄のような生活に戻ることなく、人としての永遠の尊厳を手に入れることができたのだから、その選択は間違っているとは言えない。 【飛鳥】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-07-01 00:15:35)(良:2票)
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