| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 近年の是枝監督作品はかつての小津監督の映画を彷彿させます。共通していることは、「家族」がテーマであることはもちろんですが、特にその時代を象徴する家族の姿を適格に、少しの哀愁を以て描いていること。本作で言うなら、もはや珍しくもないバツイチ 、低収入の中年男、ダンナより稼ぐ女性などは、今よりもむしろ何十年か経ってから、あの当時はこんな家庭が多かったなあ、としみじみ感じさせるような、そんな予感がするのです。 阿部寛の小悪党のようでもあるが、まったく憎めない魅力的なキャラを含めて、登場人物全員、人生の成功者ではないが人間味のある描き方をされていて、それはとても好感が持てました。 人生にも「台風」があるとすれば、それはたぶん離婚だったり死別であったりします。(要するにあまりよい出来事ではないということ) 台風の最中、深い海の底に潜むタコの姿は、彼が今人生のどん底であることを示唆しています。でも台風一過に覗いた晴れ間は明るくて、暗闇を抜けた先に見えた一筋の光明 (アカルイミライ) にも見えました。 彼は父親になれなかったのではなくて、愛はあったがお金が足りなくて父親稼業に失敗しただけ。だから彼のために一言だけ言わせてもらおう。「失敗も、一度は許そう、父親稼業」 ・・どうか彼の第二、、いや第三の人生に幸あれ。
【タケノコ】さん [映画館(邦画)] 7点(2016-06-03 23:54:05)(良:2票)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |