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《ネタバレ》 「朗かに歩め」に続く小津の暗黒街もの。完成度は「非常線の女」なのかも知れないが、俺はこの作品の方が好きだ。
オスカー・シゴールの「九時から九時まで」が原作と、この頃の小津はアメリカナナイズドされすぎ(良い意味で)。 溝口健二の「瀧の白糸」で岡田時彦のファンになって以来、岡田時彦が主演と聞いてこの作品も見た。 「朗かに歩め」や後の「非常線の女」でもそうだが、小津の同じパターンを繰り返すストーリー展開はこの頃から完成しつつあったようだ。 しかし上記二つの作品とは一味違う。 小津作品してはガンガン印象付けようとするカットが多い。 最初こそ強引に見せつけようという感じがするが、劇中で徐々に自然でさりげないカットになっていく。 洗練されていない荒っぽさが逆に良い。 手袋から別の手袋に繋がるカット、居並ぶ警官隊の雰囲気、伏線だった冒頭の「強盗」・・・銃を何処から入手したのかは解らないが、当時の恐慌で金も無くなり「アレ」を救うため仕方なく強盗に興じる・・・。 自首しようとする夫、夫を逃そうとする女。 後年の「非常線の女」とは逆というのも面白い。 「もう逃げない」と覚悟を決める男、警官とのツーショットが一番印象的かも。 八雲恵美子の着物姿も艶かしい。 地味に常連な斎藤達雄の医者も面白い。 笠智衆もこの頃は端役ながら活躍。 この後小津は「エロ神の怨霊」という言うまでも無く黒歴史を撮った。脚本すら無いのだから相当「やらかした」作品に違いない。この頃の小津はやんちゃすぎる。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-03-30 19:52:15)
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