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《ネタバレ》 面白い。が、面白いと感じる部分は映像の美麗さと「理屈vs感情」という本作のテーマの2点。単純な対ゴジラの戦闘シーン、圧倒的なゴジラの力の描写、という点ではない。
ビルサルドの言う論理的帰結とエクシフの言う知性・感情・本質。この間に揺れ動くのが主人公ハルオ。この構図は他の映画でもまあよくあるものなんだけれども、やはりそれは永遠のテーマとも言うべきもので、故にそれを上手く描けている作品は私が面白いと思ってしまう作品なのです。 ビルサルドの言う「え、ゴジラが人類の上位互換なら、それを模してさらにその上を行く道を選べば良いじゃない。その個体にしか存在しない肉体だの感情などに捕らわれる意味ってなんかあるの?」という主張は、非常に理解できる。合理的ではあるが、合理的でしかない。人が人たる故に感情が存在し、その葛藤こそ知性であるとエクシフは言う(含みはあるけど)。エクシフの主張は、非常に主観的ではあるが共感はでき、そして傲慢でもある。本作では薄ーく隠し気味に主張される「傲慢」。これこそが現時点で寿命というものが存在する人間の本質であり「感情による理屈」の根源だと思うんだよね。 ・・・と、いったことを考えさせてくれる作品が、私は好みなのです。 作中の進行に視点を当てると、やや雑な点が目立つ。孤立無援かつ母船と連絡が付く状況で独断先行する意味は無く、まずは連絡して状況を完全に伝えるべきだし、相手に索敵されない上に圧倒的なリソースがあるのであれば索敵されない状況を維持しつつ完璧な準備を整えるべきだし、「皆の結束を」という理由のみで3機しかないヴァルチャーのうち1機に乗り込むべきではない(機体性能をフルに活かせる人物を優先するべき)等、おいおい、という点がある。 また、ゴジラはやはり圧倒的な存在感とその火力で人類を圧倒する、という点に魅力があるのも事実で、その描写が本作は薄かったようにも思う。あくまで人間ドラマ、テーマを提示するSFとして観るか否か、そのあたりで評価が分かれそうな本作です。 【53羽の孔雀】さん [DVD(邦画)] 8点(2019-03-13 02:17:34)
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