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バズ・ラーマン監督と相性が良い私ですが、本作はマンセーというほどには乗り切れませんでした。おそらくちょっと時間が長すぎたでしょうか。若い時にブルースやロカビリー系のギターを長く弾いていたのでプレスリーのことは結構知っているつもりでしたが、まさかこれほどまでに精神がブラックであったとは驚きました。(結構色んなレコードを聴いてきたつもりでしたがBBキングと仲が良かったとは!)
幼少期からデビューまでの畳みかけるような流れは音楽も含め非常に素晴らしく、女性の表情をもって「その娘の目が語っていた。楽しんでいいのか迷いの感情が・・」というシーンは心底素晴らしかったです。バズ・ラーマン監督は派手演出の監督といわれがちですが、この監督は目つきや佇まいで感情を語ることができる数少ない監督の一人です。 皆さんおっしゃるようにエルヴィス役のオースティン・バトラーが神掛かっていて前半は本当に本人のようで素晴らしかったです。バトラーの演技もあって序盤から中盤は伝記映画を超えた何かを感じましたが、小指を動かすシーン以降は流れがありがちな方向へ向かってしまいます。事実の列挙といった意味では致し方ないのかもしれませんが、キングになった後の流れがあまり面白くないのです。(まあ後半の顛末は誰しもが知っていますので仕方がないでしょうか) そういった意味では後半に向けてもっとエルヴィスの内面や葛藤に話がフューチャーされていれば面白かったかなと思いましたが、奥さん相手にメソメソして終わってしまいました。 何とか最後までテンションを維持できた最大の要因はトム・パーカー大佐(トム・ハンクス)の胡散臭さでしょうか。彼の顛末が気になって目が離せない作りは素晴らしい。比較されがちな”ボヘミアン・ラプソディ”のようにただのバンド映画にしなかった監督の手腕は高く評価したいです。ただ、、他の方もおっしゃっるように大佐本人にナレーションをやらせてしまったせいで、彼の独白に信憑性が無くなってしまった点はちょっと残念でした。 総じて良くできた映画でしたが後半が割と壮大にダレますので、できればもう少し短くまとめていただきたかったです。また、偉大な人物を扱っている割になんとなく深みに欠けるといった印象も残りましたのでいろんな意味で惜しい作品だったなと感じました。 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 7点(2022-10-31 12:20:16)
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