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社会の不条理をこれでもかと見せ付けられるクリント・イーストウッド監督渾身の力作…、とだれかが書いてたけど、ほんとにその通りだと思った。圧倒的な空気感です。音楽がほとんどないのに、得体のしれない通奏低音が鳴り続けているような不思議な感覚です。人間の不条理や狂気の連鎖、憎しみの伝播?そういうものが最初の性犯罪から始まって、人の社会はこれを断ち切ることができないのだ。そしていつも取り返しがつかないところにまで進んでしまう。要するに救いがないのだ。そう考えると、不満が残ったこの映画の終わり方もすこし受け入れられるような気がしてくる。みんな病んでいる。いちばんまともに見える刑事さえ、妻の無言電話にどう対したらいいのかわからない。そして真犯人は人々の予想もつかぬところに見つかる。予想もつかない悪意や憎しみが人間の社会には潜んでいるのだ。この物語の終わり方をどうすればよいのか、イーストウッドにもわからなかったのだと思う。唯一示された救いは、最後に刑事が自分から先に心を開き、妻が電話の向かうでやっと口をきいた…ということくらいか。
【柚】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-06-22 21:14:03)
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