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麦秋(1951) のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 麦秋(1951)
製作国
上映時間124分
劇場公開日 1951-10-03
ジャンルドラマ,モノクロ映画
レビュー情報
約2年の間隔を隔ててFilm Forumにて再鑑賞。いやはや、ありがたい街だ。

前回鑑賞時は同時期に読んでいた妹尾河童氏の「少年H」や、鶴見俊輔氏による著「戦後日本の大衆文化史」のお陰でハッとするような気付きを与えてもらっていたことが当時の書き残したものを読み返してみて鮮明に蘇ってきた。今回の鑑賞においてはまた別の側面がいろいろみえてきたのであるが、それは多くの部分においてその間に鑑賞した昭和期作品群のフィルターを通してのものであった。

小津作品になれない頃は似たようなタイトル、似たようなキャストに惑わされたまま終わっていた感もあったが、ひと通り再鑑賞してみるとその中でも世に名高い「紀子三部作」の中では自分はやはりこの脚本が気に入っていることがより明確になった。なかでも原節子と杉村春子のシーンが抜群で、この杉村という人も多彩な役どころを演じ分けられる人だけに、彼女の演じる「いい人」にみてる側の心があっさり奪っていかれるのを感じる瞬間があるのである。「東京物語」で香川京子も嫌がる人とはまるで別人なのだ(笑)

また本作においてはあくまで脇役の菅井一郎については木下惠介監督作品「肖像」を通して、東山千栄子に関してはむしろ「東京物語」ではなく黒澤明監督作品の「白痴」を通して、印象が二倍にも三倍にも増幅されていたので全く違った楽しみ方が出来た次第。本作鑑賞直前に楽しんだ「早春」で主演女優姿を拝ませていただいた淡島千景様はいうまでもなく。

そういやこの二年の間に本作に対するリリー・フランキー氏の評論も読んだことを思い出した(笑) 世の中にはいろんな小津評があって良いと思われ。
keiさん [映画館(邦画)] 8点(2014-04-07 07:17:14)
その他情報
作品のレビュー数 44件
作品の平均点 7.77点
作品の点数分布
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312.27%
412.27%
524.55%
6818.18%
712.27%
81738.64%
9613.64%
10818.18%
作品の標準偏差 1.70
このレビューの偏差値 50.78
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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