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《ネタバレ》 劇場で観なければ、評価してはいけない映画
エンドロールを見ながら、なぜか涙が… 中3のとき劇場公開された作品。監督はスティーブン・スピルバーグ。前作「ジョーズ」で世界興行を塗り替えて注目された。その、ジョーズにつぐ新作は映画の内容を極秘にして公開された。 なぜなら、異星人とのリアルなファーストコンタクトを初めて描いた=観客に体験させる映画だったからだ。 衝撃音とともに暗闇から明転する冒頭から、超常現象的な恐怖さえ感じる前半、ドキュメンタリータッチでサスペンスフルな中盤、そして光と音、SFとファンタジーが一体となった壮大なファーストコンタクト。 まさに、ビデオ以前の時代だからこそ誕生した、巨大スクリーンと70mmフィルムの超大作シネラマ映画だった。 同じSFで、ほぼ同時期に公開された「スター・ウォーズ」も劇場で鑑賞したが、当時の私の評価は断然「未知との遭遇」が上だった。「スター・ウォーズ」は大ヒットしていて劇場は満員立ち見で印象が悪かったのかも知れないが。笑 さて、「未知との遭遇」の主人公のロイは勤勉な電気技師だがアニメや模型が好きだったりと子供のような一面がある。濃くはないがライトなオタク系だ。 アメリカの青年の中では立場の低いオタク系男子の成人した姿。それは監督自身の姿でもある筈。 映画が公開された1977年の日本は、まだアニメブームの夜明け前。とは言え、オタク文化の基礎は作られつつあって音楽やアート、マンガやアニメ、SFなどは急速にハイレベル化し専門の雑誌も創刊され、高校生、大学生に与える影響も大きくなっていた時期。 だが、高度成長期を生きてきた当時の親世代は財産を蓄え家族の安定を人生の目標としていたので、当然、ジェネレーションギャップが生じ「親たちの普通」へ子供を矯正しようとした。 ロイに起こった遭遇事件はスクリーンのこちら側の観客だけが知っている事実で、彼の言動は安定志向の妻や子供には理解されない。自分の夢を身近な家族に理解してもらえず孤立してしまう。 漠然と映画やアート系の仕事を目指していたけれど親の猛烈な抵抗にあった当時の私にとって、ロイ・ニアリーは心情的に共感できる人物だったんだと思う。 映画オタクだったスピルバーグ青年がスタジオシステムの中で「ジョーズ」を成功させるまでにも多くの抵抗勢力があったに違いない。 「障害を振り払い平穏を捨ててでも進まない限り、夢には到達できない。」と、映画を通してスピルバーグは叫んでいたのだと思う。それが、中3の私にも何となく伝わって涙がでたのかも知れない。 今の私の仕事はこの映画に遭遇した結果なので、個人的に貴重な作品。そういう意味でこの評価です。 【墨石亜乱】さん [映画館(字幕)] 9点(2014-04-07 18:34:31)(良:3票)
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