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笑える怖い映画。というより、怖いコメディ映画か?とにかく不思議な空気が常に画面の中に漂っているようだった。笑いと狂気がここまで共存している映画はあまり観たことがない。しかも、笑いと狂気のどちらにも偏っていない。それどころか、笑いが怖さを増幅させ、その恐怖がまた滑稽に見えてくる。でも、めちゃくちゃ笑えるとは言えないし、スゲー怖いわけでもない。個性溢れる登場人物たちは皆、愛らしくもあり憎たらしい。一面に広がる白い雪景色は冷たく厳しい印象を与えるが、愚かな人々を優しく見守る寛容さも仄かに感じられた。
そんな中、フランシス・マクドーマンド演じる婦人警官だけが唯一、明るくて優しくて強い。癖のあるキャラクターが次々に出てくる中、映画の中盤から登場する彼女の存在感が際立つのは、このコントラストによるものなのだろう。 「コーエンで一番好きなのは?」と訊かれたら“バートン・フィンク”や“バーバー”と答えるが、「最高傑作は?」と訊かれたら、やはり“ファーゴ”なのかもしれない。 役者たちのハマりっぷりも本作の大きな魅力だ。 【Y-300】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-05-09 16:21:44)
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