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《ネタバレ》 かきむしる背中から見えるぜい肉。自堕落な引きこもり生活。醜い姉妹喧嘩。転んで透ける下着。働きだしてからも職場の百円ショップに集まってくるのはどうしようもない人間ばかり。同僚からはレイプされ惹かれたボクサーには逃げられる。前半に溜めるだけ溜めた膿や鬱憤を晴らすかのようにふと始めたボクシングに力が入っていく。何をするにも鈍重だった彼女の動きが変わる。目には生気が宿りシャドーの切れも増していく。その変遷を演じる安藤サクラが素晴らしい。強烈な印象を残す女優だ。俳優たちが段々小粒になっていく印象の昨今なかなか得がたい存在だと思う。
展開はわかりやすいが人物の距離感はシビア。登場人物は極端な人間が多いのにふとリアルに感じる匙加減が良い感じ。百円ショップの廃棄を飄々とかっさらっていく根岸季衣には爆笑させてもらった。あの顛末には店員じゃなくとも「マジっすか!」と言いたくなる。 「勝ちたかった。一度くらい、勝ってみたかった…」言葉を搾り出す一子。人生において勝利とは人それぞれだろうが試合に負けた彼女のこれからはきっとそんなに暗くないだろう。観客にそう思わせた彼女はもう負け犬ではない。 【⑨】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-12-28 20:14:09)
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