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《ネタバレ》 マーク・ライランスの演技が素晴らしい。トム・ハンクスは安定の演技を見せるがこの作品に深みを与えているのはマーク・ライランスの存在だろう。踏み込まれても動じず坦々と動く物腰に彼の仕事の長さを感じさせる。「不安じゃないか?」と聞かれる度に「役に立つか?」と返す姿は自分に起こる全ての物事に対する覚悟ができているかのようだ。
厳しい世論に対して主人公の弁護士ドノヴァンは真摯にそして信念を持って仕事をこなす。判事さえも感情的な目を向けるがあくまで理性的に対応し、論理的にスパイを生かしておく有用性を説く。それが結果的に米国の兵士を助ける切り札になった。感情的になって目先のことを考えるのではなく理性的に人間性を持って対処することは自分を救うことにもなり得る。きっと国益にも。それは現代にも通じることだ。終盤、米兵士のパワーズは抱擁で迎えられる。ソ連のスパイアベルには抱擁はなく後部座席に乗り込む。もちろんこの対比だけで論じるのは短絡的だとは思うが冷戦の結果を暗示しているシーンに思えた。 偵察機墜落のように迫力あるシーンを入れることにも抜かりなく、スピルバーグらしいヒューマニズムもバランスが良くラストのドノヴァンとアベルのやり取りも素直に感動できた。というよりも自分でも意外な程に熱いものと寂しさを感じ涙があふれた。地味な題材だが長さを感じさせない作りはさすがと言わざるを得ない。 ドノヴァンという人物を全く知らなかった自分はラストにその後の仕事も知り更に驚かされた。 【⑨】さん [映画館(字幕)] 8点(2016-01-12 01:59:40)(良:1票)
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