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《ネタバレ》 様々な映画の要素を真っ暗な部屋にある鍋の中にドバドバッと放り込み、ぐつぐつ長時間煮込んで電気を点けたら凄いのが出来ていました、という作品ではないと思います。
3人の凄腕の料理人がレシピを書き、その中の1人の天才が最高のシェフを集め、最高の厨房で最高の食材と最高の調理器具を使い、たっぷり時間を掛けて完成させた最高の大衆料理の様な作品だと思います。 時は戦国時代です。槍一本、己の武勲で素浪人から一国一城の主にも成れるようなジャパニーズサムライドリームの真っ只中で「ゴハン奢るから、野武士やっつけて」って言われても断られるのは当然です。ハイリスクウルトラローリターンです。 しかし、何時の世にも実利を選ばない奇異な人は居ます。20億円以上のオファーを蹴って4億円の年俸に応えるプロ野球のピッチャーのように…。 難航する侍集めをおざなりにせずに、時間を掛けて描くことにより、当時の世相や百姓が侍を雇うことが如何に無謀な事であるかを理解させてくれますし、それぞれの侍のキャラクターの説明や、彼等の個々の行動の説得力にも繋がります。 また、後半の怒涛の乱戦での決して大団円といかない結末に対する濃厚な前フリとも言える巧妙なプロットになっているとも思えますし、これらをサラッと描いていたら底の浅い作品になっていたと思います。 私にとって最高の作品のひとつですが、完璧なそれでは有りません。粗はあります。古さも感じます。しかし、それらを軽く凌駕する高揚感だったり、突き抜けたカッコ良さや、感情をジャイアントスイングされるようなダイナミックさがあります。 要因として特筆すべきは三船敏郎さんの演技力です(勿論、他にも沢山の要因は有りますが、書いていたらきりが無いので…)。 まさに水を得た魚のようにフレームの中を縦横無尽に動きまわり、台詞も何を言っているか聞き取れないほど吠えまくります。 また、彼が劇中で見せる豊かな表情や子供達を相手にしての演技などは、彼自身の人間的魅力とも感じさせられます。 しかし、彼がどんなに全力で演技をしても、決して画面からは窮屈さは感じません。三船敏郎さんの激情を伴った演技を、勢いそのままに映画に昇華させる黒澤監督の懐の深さは、孫悟空とお釈迦様の関係のように感じました。 本作のスタッフやキャストの方々へ、「七人の侍」を作って頂きありがとうございました。 【しってるねこのち】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-04-12 12:35:53)
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