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《ネタバレ》 原作小説が大好きなので、期待を込めて観賞。
絶対に二時間で纏めるのは無理だろうと思っていただけに、ちゃんと物語を完結させている事に感心半分(やっぱりダイジェスト感は否めないなぁ……)と落胆半分、といった感じでしたね。 結構な尺が必要となるであろう「マロリーのカメラ争奪戦」の件を思い切って省略したのは正解だと思うし「鬼スラへの挑戦」「岸との別離」「グランドジョラスからの生還」と、羽生丈二というキャラクターを語る上では外せない場面を映像化してくれた事は、素直に嬉しかったです。 それでも、どうしても「あれも見たかった」「これも見たかった」というモヤモヤが残ってしまうのだから、全く以て困り物。 折角モノローグを多用して小説の文章そのまま再現する演出をやっているのだから「きしよう」や「地球を踏んだ」などの言葉も、心の声として聞かせて欲しかったなと、ついつい思ってしまいました。 主演の岡田准一と阿部寛は熱演されており、特に後者の存在感はお見事でしたね。 凍死した羽生の「死体」をここまで迫力込めて演じられる人は、ちょっと他にはいないかもと感じるくらい。 ライバルである長谷の扱いが軽い事も含め、どうしても原作に比べると羽生に関する描写は薄くなってしまっていたのですが、それでも「これは間違いなく羽生丈二だ」と思えたのは、役者さんの力が大きかった気がします。 中でも、遭難しかけた深町を羽生が助けるシーンは凄く良くて、ここが本作の白眉であるように感じました。 ちょっと原作に比べるとエキセントリック過ぎるというか「羽生の魂を継ぐ者」として、野性味溢れて描写されていた深町であっただけに「もういい、もうやめてくれ……」と弱々しく呟き、自分を見捨てるよう訴えかける姿が、一際胸に迫るものがあったのですよね。 その後に「最初から羽生は最も困難なルートを登るつもりだった」と明かされる展開についても、良かったと思います。 正直、原作と異なる部分に関しては不満も多かったりしたのですが、ここの流れは原作よりも好み。 最後も深町の生還というハッピーエンドで〆てくれる為、後味も悪くなかったですね。 久々に本棚から「神々の山嶺」を取り出して、蜂蜜を溶かした紅茶片手に、ゆっくりと読み耽りたくなりました。 【ゆき】さん [DVD(邦画)] 5点(2017-04-11 18:14:38)(良:1票)
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