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《ネタバレ》 終盤までは傑作!と感じていたが、終盤で点数を大きく落としてしまった映画。
コーエン兄弟と私は反りが合わないと判ってしまった。 本作の結末から見るに、本作は生死や運命の不条理さをテーマとしていて、そのテーマを表現するためのあの拍子抜けな結末があるのだろうが、これが映画的に良かったかと言うと、はっきり言って駄目だと思う。 起承転結の結を完全に放り出した展開には、大きな不満が残った。まさか不条理を味わうよりも不完全燃焼を味わうことになるとは。 ベルが完全に傍観者で終わってしまい、そこが特に不満で、せめてシュガーとベルを対決させていればまだ良かったのにと思う。 原作を忠実に映像化しているのはわかる。ただ原作は、マッカーシー独特の詩的かつ長大な文章表現と哲学的思索が盛り込まれる事で、 不条理な結末に至る過程が濃密に描かれている。その濃密さはまるで結末に対するエクスキューズのようでもある。なので小説の方は不条理さが際立つ事はあっても、不完全燃焼感はあまりない。 ただ映画となると、そうした濃密な文章や思索がどうしても映像化できないため、たとえ結末が一緒でも唐突に結末を突きつけられた印象が強い。 結末を納得する余裕もなく唐突に映画は終わってしまう。 不条理さを味わうといっても、原作にあるような詩的で、神話的で、寂寞感に満ちた、運命や生死に関する思索が提示されるわけでもないため、 これではやはり不条理ではなく不完全だ。 原作にある不条理さを表現媒体の違いで上手く表現できないのなら、思い切って別の展開を選べばよかったのだ。 【nakashi】さん [ブルーレイ(字幕)] 5点(2018-08-25 14:03:41)
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