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《ネタバレ》 原作は読んだものの、それはこの本が出版されてすぐだったから、はて何年前になるのか。
映画にするのは難しいと考えて観ずに来たのだが、再び読み返すことがあって、それならということで映画も鑑賞。 馬締の下宿先も大家のおばあちゃんも、昭和感出てるんだけど、立派に平成の物語だよね。 パソコンのソフトも古いし、PHSが最新式だったりと、辞書作りにふさわしい時代設定。 これ令和の今じゃあもう無理なんじゃないかな。いや、多分同じような手法で辞書は作るんだろうけど、スマートフォンのアプリとか使って用例を採取するんじゃ味わいってもんがないもんね。 しかしキャスティングが絶妙。 人間として少しずつ深みが出る難しい役を松田龍平はうまく演じていると思うし、監修役の加藤剛の安定感たるや尋常ではない。そしてオダギリジョー。なんだよ、あいつ。チャラく見せて実はいい奴をやらせたら日本随一だと思う。宮崎あおいは好きなんだけど、なぜ馬締が彼女に惹かれ、彼女が馬締に惹かれたのか、もう少し描いて欲しかったのが唯一残念なポイント。だってあんなに上映時間長いんだから、もうちょっとなんとかなったでしょ。 足掛け十数年。新たに辞書を作るって、ほんとに大変なんだなと改めて感じ入った。辞書作りに人生を懸けた加藤剛と、彼が死ぬまでに完成させたいとぎりぎりの努力を続けた馬締の絆が、言葉は少ないが熱くていいものだった。馬締、いい編集者になったなあ。 【恋】の項目は、三省堂の「新明解」が一番的を射ているような気がするが、「大渡海」版の【恋】もなかなか良かった。 そして、最後に一言。 加藤剛も八千草薫もあちら側に逝かれ、なんだかいろんな意味で感慨深い鑑賞となった。いや、名優。 【roadster316】さん [インターネット(邦画)] 6点(2025-06-29 21:59:30)
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