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《ネタバレ》 ギルバートが本当に心を開いていたのは、家族よりもハンバーガーショップに就職を決めた友人と、旅の途中でたまたま町に足止めをくらったベッキーだけだったのかな。姉と妹は家族には違いないけど、母と弟の面倒を一緒に見る運命共同体。いや、そもそも家族って運命共同体なんだろうけど、思っていることを話せるかっていうと、そうもいかないことが多い。母親の世話なんてもうごめんだぜ、なんて思ってても家族には言えないもんね。そんなギルバートが選んだのは、徹底的に自分を殺して誰かのために生きること。家族だけじゃなく、勤め先のオーナーにも気を遣って、いい人を演じること。いろんなことを我慢してるんだから、せめていい人に思われたいって思っても、それぐらいいいじゃないか。でもギルバートも完璧な聖人君子じゃない。配達にかこつけて人妻との逢瀬を楽しむギルバートに、ちょっと救われた気がした。やっぱり人間そうでなくちゃ。君は決して聖人君子なんかじゃなくて、町の外に飛び出す決断力と勇気を持っていないだけなんだよな。
そして塔に登って拘束された息子を敢然と迎えに行く引きこもりの母親。 彼女はこの時初めて、自分の息子たちが自分のために普段どんな思いをしているのかに気づいたのだろう。肥満で歩くこともままならない自分に対する好奇の目。それを息子たちは毎日感じながら生きているのだ、ということに。 ギルバートが家族を捨てない、弟を捨てはしないということを確信した母親は、たぶん自ら命を絶ったのだと思う。せめて自分を養うことからは解放してやりたい。でも弟の面倒は最後まで頼むわね。 家族の思い出が詰まった家ごと彼女を火葬するラストは、まさにこの物語の結末としてふさわしいものだったと思う。まだまだ困難は待ち受けているけど、新しい世界に飛び込んでみれば案外なんとかなる。 キャストの演技が素晴らしく、筋立ても見事。2回目だけど、やっぱりいい映画だなあ。 そしてメアリー・スティンバージェン崇拝者の私には、彼女の妖艶な姿を見ることができてそこもプラス。 【roadster316】さん [インターネット(字幕)] 9点(2025-05-18 22:39:55)
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