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《ネタバレ》 個人的に、同監督作品の「誰も知らない」の続きと思って観てしまってたのですが、そう思って観ると終盤の少年の行動は当然そうするでしょう! と共感しました。
あと、是枝監督作品にしてはかなりエンターテインメントしていて(一般的には全くエンタメしてないかのように見えるでしょうが)、話のエンドはともかく、『救い』が多く描かれ、それらを描くために各役者の演技を極限まで引き出す演出、編集がされてて非常に良い出来で、これでパルム・ドール受賞は、それは取るでしょう、という充実した作品だったと思います。 実のところこの話のモチーフって、とても古めかしい、子供を拾ってきて居ついてしまいましたよとか、育ての親と生みの親のどちらが子供にとって良いのか? というコテコテの人情噺で、前世紀だとハッピーエンドで終わって、いい話だったねと終わるところが、今世紀では、それは単純に犯罪になってしまうし、法律によって生みの親に子供を託すのが何だか知らんけど社会的に正しいことだとされている(各種フィクションでそんなことねーよ! と指摘はそこらじゅうでされてますが)という風に、世間の方の価値観が変わってしまってることに対して、今のおまえたちはどう想像するんだこの結末を、と叩きつけるようなエンドになってるのが、視聴者に対する挑戦なのかなあと思ったりなんかしました。 例えば、主人公の親父と少年がわかれて最後に親父が追っかけたところで、映画の中ではカットされた、バスが止まって少年と親父が抱き合う場面が視聴者であるあなたは想像できますか? とか、女の子の最後のベランダの場面は、話の冒頭にあえて戻した演出をしてるんですけど、あそこで、「万引き家族」と言われて主人公の家族は違法とわかってるけれども助けることを選んだ。視聴者であるあなたの目の前に全く同じ状況が映画のエンドで提示される。そこで、あなただったら助けますか? とかいうところです。 この作品で描かれる貧困はリアルなようでありながらわりとファンタジー(そんなに悪い人は出てこない)という認識なんですが、この世間の想像力の欠如に対する訴えかけについて、 「他に教えられる事がなかったんですよ」 と、主人公が金を稼ぐために万引きしか教えられなかったことについて、教育もなく追い詰められて困窮した人だったら、それは仕様がないないよね、ととらえられるか、そんなのあり得ないだろうと拒絶するしかできないか、というようなところも問うてるかなあと思います。ホームレスなどの困窮者が表向き見えるところから排除されたことで(今はむしろ格差拡大で増えてさえしているかもと想像しますが)、そんなもの想像もできなくなってるだろうなあとか、自己責任論とか、あるいは裁判員裁判でそういった想像力の欠如があるので、困窮者でアル中まがいの状況になってる人がそんなつじつまの合ったまともな証言などできないだろう、ということに対して、裁判員に選ばれた人が驚くほど冷酷な反応をするとか、そんな話を伝え聞いたりしてると、こういう話に共感しがたい人も増えてるかなあと思ったりなんかもしました。 【sim】さん [映画館(邦画)] 8点(2018-07-22 18:39:58)(良:1票)
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