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《ネタバレ》 まず、音楽と、映像演出がとてつもなく素晴らしかったです。
ホラー映画、スリラー映画は、前衛的な20世紀音楽(主にクラシック系)の宝庫で、曲聴いてるととても斬新で面白いのですが、恐怖の演出のためのおどろおどろしいものという偏見を植え付ける問題があって、1年くらい前? にヨーロッパで抗議のデモがあったりなんかして残念だったりすることも多いのですが、その辺の音楽で個人的に重要と思うのは、神経を逆なでする恐怖的表現以外に、「熱狂」「官能」「途方もなく深い感情表現」等を表す新たな表現手法を確立したことだと思ってて、昨年上映された「ビューティフル・デイ」の曲なんかは、美しく、かつ途方もなくイカれてて素晴らしかった。 それがまあ、本作では、全編にわたって、狂的に美しくもおぞましい、映像と音楽と出来事とに埋め尽くされるという、映像体験としてすさまじく、終始シビれっぱなしでした。個人的には、前衛的音楽映像表現の、現在の極致と言って過言でない、かと。 次に、ストーリーの内容ですが、アメリカ人視点では確かに恐怖の対象で、感情移入して観ると怖くも見えるのですが(主人公側の人間は、かなりベタなアクションをしてて、あらゆる場面がよくよく見るとどこもかしこもベタなのですが)、前世紀の未開の地を冒険する物語だと、よくある展開そのままですじゃん! って割と普通に観てしまいました。 話のエンドについては、話の当初の主人公の動機付け(喪失からの回復)を、やってくれた方が良かったかなあと、そうすれば感動するいい話になったのに、というのがちょっと惜しかった感じです。 個人的に、感動して泣ける話と、ホラーって、感情を揺さぶる点で本質的に非常に近しいと思ってて、この映画は非常にいい線行ってて、とても気に入った感じです。 現場からは以上です。 【sim】さん [映画館(字幕)] 9点(2020-02-27 22:49:48)
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