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《ネタバレ》 障碍者の方たちは、状況によって日常生活に健常者の助けを借りる必要があることから、負い目や気後れ、あるいは「この人にはこれは無理なんじゃないか」といった健常者からの「色眼鏡」によって、身体的・物理的な不自由以上に、人間関係における不自由を抱えているのだろうと思う。本作では前半、そういった障碍者の心理的な不自由を主に描き出し、そこから主人公が自由を追い求めていく切実な姿を忌憚無く描いており、非常に見応えの有る作品に仕上がっている。
面白い・良く出来ていると思うのは、主人公の障碍者本人だけでなく、家族(この場合は母親)も物理的・心理的な不自由を抱えており、主人公と一種の共依存関係に陥っているという状況を詳細に描き出している点である。これについては、母親役の神野三鈴の演技の良質さも大きな要因であると思うが、この部分に非常にリアリティが感じられ、その方面からも大いに共感・感情移入することが出来た。母親に限らず、この映画の多くの登場人物には何らの「慈しむべき」不完全さがあるように描かれている様に思われ、そのことがシンプルな話に奥行きを与えている様に思われる(超絶自己チューな荻原みのりは置いといて)。 そしてもう一つ、何といっても主演女優の熱演の素晴らしさ。実際に障碍を持つ方だそうだが、正に全身全霊を傾けているひたむきさが画面に滲み出ており、控えめに言って圧巻だった。特に終盤、37秒の真相をベッドで打ち明けるシーンは、素人とは思えない素晴らしい「間合い」だった。役柄上でもそうだが、その勇気・特大の積極性には心からの敬意を表したい。 映画としては一点だけ、家出少女がパスポート持たずにいきなり海外なんて行ける訳無いやんけ、とは思う。付添いの兄ちゃんも仕事はどうした?そもそも何でタイ語喋れんねん。まあ、これにより物語は文字通り「飛躍」した訳だし、異国の情景の中の姉妹再会シーンも抜群の出来だったので、細かい事には目を瞑ろうと思うけれども。 【Yuki2Invy】さん [映画館(字幕)] 8点(2020-02-13 21:46:00)
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