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《ネタバレ》 日本が世界に誇る人類史上最高峰の画家・葛飾北斎の生涯を描いた映画。だが、北斎の実際の経歴&人物像とゆーのは細部までが詳らかになっている訳ではないのだろうし(⇒殊にその絵画製作の動機とかいった部分に関しては)その意味では本作はその「ストーリーの軸」として、江戸幕府の芸術・出版に対する弾圧(=北斎が関わった人々が実際にその被害にあったコト)を用いて個々のエピソードを繋ぎ合わせてゆく、という手法を採っている様に見える。調べると確かに、本作に登場する蔦屋重三郎・喜多川歌麿・柳亭種彦らがその犠牲となったのは事実である様だ、がそもそも肝心の北斎自身が公儀の咎めを受けたという事実は無い様なのであるし、何よりも彼がその方面において何らか「成果・業績」を成し遂げたとゆーのも(当然)真実とは異なるのだ。
なので、コレばかりはどー描かれたトコロで(どーしたって)我々の知る歴史そのものと本作のストーリーがリンクしてゆくコトは無いのであり、だから個人的には正直ナニがしたかったのか=ナニが描きたかったのか分からない…という類の映画にも感じられてしまう。特に、北斎の実際の作品(富嶽三十六景とか)とそのストーリーが全く繋がってゆかないのはモ~致命的だ…とも思いましたよね(⇒生首の図の話はまだしも…と思うものの)。根本的に、もし「事実」を並べて「真実」を(説得力を持って)描くことが出来ない=「事実」と「架空」を綯交ぜにして描くしかない、のであるなら、全体の質感は「架空」の方に寄せるしかない、のではないか…な~んて思ったりもしましたよね(⇒そーじゃないと正直「観方」が分からなくなって、で結果としてメッチャ心地悪いのですよね)。映画自体としては(物理的には)諸々と結構好くつくり込まれた方の時代劇だとも思ったので、この脚本のイマイチさは実に残念です。 もう一点、実質60年近くの長い年月を描いてゆく映画として、登場人物の実年齢と役者の感じが所ドコロかな~りミスマッチなのも興を削ぎましたよね。冒頭、師匠に破門された(柳楽優弥演じる)北斎とゆーのは実際には34歳の様なのですケド、柳楽くんの若々しい感じ+ごく傍若無人な振舞い(⇒からの自暴自棄になって却って一皮剥ける青臭い様子とか)を見るに正直20代前半にしか見えてこず、第二章ではまたごくそのままの若い感じで(今度は)実際には50手前の北斎を演じていたり、他にも(当時30代後半の永山瑛太演じる)柳亭種彦だって死んだのは60間近のハズ…なのですからね。もう一つ言うなら、第三章から柳楽優弥がいきなり田中泯に変わるのだって流石にコレには無理とゆーのを感じてしまいますですよ。そんな意味でも、具体的には例えば第二章とかゆーのは率直に(ナンなら)丸々要らなかったのではねーか…とすら思いますよね(で、大した内容が在った様にも全く思われないので…)。 【Yuki2Invy】さん [DVD(邦画)] 4点(2023-02-15 00:00:04)(良:1票)
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