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心中天網島 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 心中天網島
製作国
上映時間103分
劇場公開日 1969-05-24
ジャンルドラマ,時代劇,モノクロ映画,戯曲(舞台劇)の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 『天網島』とは、心中の現場が網島であるのと同時に「天の網」=疎にして洩らさぬアレ、とも掛けてあるのだそーで、コレも20年ぶり位に再見して気付くのは、心中だからってメロドラマでも何でもない、人間の「性」とか「業」とかってのを剥き出しにしてくる様な、ごくグロテスクなお話だったってことですかね(⇒20年前に比べれば、その「黒子」の役目が非常に好く理解できた、というのが第一の発見としてあります)。主に、紙屋治兵衛の情けなさに中々同情してゆけないことが、この物語を悲恋ものに見せてはくれない…という感覚もあるのですが、小春・おさん含む他の登場人物の振る舞いとのバランスも鑑みると、ただ治兵衛(&小春)を突き放して観終われば善い…というダケの映画には(私の中では)また決して為ってはおらず、何とも好ましく、複雑でやり切れない妙なる鑑賞後感を得られたとも思うのです。たった一文字「終」を投げ遣りに映しっ放して終わってゆくオーラスも、個人的には非常に好みなモノだったと言えます。

ただ、それは、演劇の脚本としてのシンプルな高品質ぶりも含めて、やはり原作=古典の持つチカラだとも思うのですよね。しかし、今作は加えてソコに、その古典の意義を損なうことなく、映画としての固有で新規的な表現のクオリティをつくり込むことが(その辺の古典原作映画とは比較にならないレベルで)立派に出来ていた…という意味で、やはり傑出した作品だと(再び)思われました。月並な感想だとは思いますが、やっぱ構図から何から徹底的に考え抜かれてつくられてる映画だなァ…とはモ~唸らされてしまいましたよね(⇒んで助監督で入ってる小栗康平さんが、この約10年後に『泥の河』を撮ってるのだなァ…とも得心したと)。願わくば、古典をこーした様な映画を、また再び邦画で拝見したいものですね。
Yuki2Invyさん [インターネット(邦画)] 8点(2025-03-29 10:10:21)《新規》
その他情報
作品のレビュー数 16件
作品の平均点 7.12点
作品の点数分布
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200.00%
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416.25%
516.25%
6212.50%
7637.50%
8425.00%
916.25%
1016.25%
作品の標準偏差 1.41
このレビューの偏差値 54.41
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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