Menu
 > 作品
 > ク行
 > クォ・ヴァディス(1951)
 > Yuki2Invyさんのレビュー
クォ・ヴァディス(1951) のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 クォ・ヴァディス(1951)
製作国
上映時間168分
劇場公開日 1953-09-15
ジャンルドラマ,歴史もの,リメイク,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 古代中華のいわゆる「三王」、夏・殷・周の最後の王はいずれも、悪い(とされる)妃に誑かされて国を滅ぼした。このお話はつまり、神話的類型と不可分である中華古代史の特性を表していると同時に、歴史愛好者にとってのささやかなる希望的観測、即ち、古の人の世に王者たりし男というものは、その人の為に国を滅ぼすという程に深く女を愛するということが可能だったのかも知れない、というひとつの芳しい可能性を包含しているとも言えるのだ。

古代史の中に生きる人々からは、概して、より直情的で純粋な感情を感じ取ることができる。それは彼らが、過去から現在に至る過程で人類が身に付けてきた複雑な倫理観・価値観をいわば脱ぎ捨てた状態に在るからであろう。そして、人が人をただ純粋に愛し抜くには、今の世界もまた複雑すぎると言えるのかも知れない、とも思う。

本作は、キリスト教的価値観に応える部分を除けば、極めて単純な男女の愛の物語だ。尚且つ、男と女が互いに恋に落ちることの理由には何らの説明も為されない。これは、世界がよりシンプルで本質的な史劇の中だからこそ可能となることであり、そして、そこに無造作にも描き出される愛の結実にはまた、却って現代劇では得ることの出来ないひとつの高度な純粋性を感じ取ることが出来る様にも思われる。

最後に一言。史劇にこそ、描かれるべきは人の正しき在り方である。宗教的な価値観の表出に傾注しがちなこのジャンルの作品として、原典の持つその部分のテーマ性を決して疎かにしなかった本作には、個人的には非常に好感が持てるのである。
Yuki2Invyさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-07-25 01:26:23)(良:1票)
その他情報
作品のレビュー数 8件
作品の平均点 6.25点
作品の点数分布
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
4112.50%
5112.50%
6337.50%
7112.50%
8225.00%
900.00%
1000.00%
作品の標準偏差 1.30
このレビューの偏差値 60.37
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
クォ・ヴァディス(1951)のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS