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《ネタバレ》 やっと自分がイメージするレベルのコーエン兄弟のブラックコメディに出会えたという印象です。正直言って今まで見てきた彼らのコメディー系の作品は自分にとってはどれも不満足で、「赤ちゃん泥棒」を撮ったあなた達ならもっとできるはず、とずーっと思っていました(ていうか結構失礼な話。デビュー作から結果出してないと言っているようなもんだもん)。今作ではキレッキレのブラックさが炸裂でアメリカ社会の俗人たちをカリカチュアして笑い飛ばし、その加減が私にはちょうどいいくらいに下世話で大満足でした。リンダの男漁りと美容整形の異常な執着ぶりとか、不倫もし、大人の玩具を自作するハリーの過剰な性欲、チャドの筋肉バカぶり、なぜかロシア正教を棄教し資本主義に隷属しているテッド、夫を見限っているのにその相手がエロしか目がないハリーだというインテリのケイティ、ケイティが裏切っているのも気づかず職場でアル中認定を受けているのに自分は正常だと信じているオズボーンという具合にすべての登場人物を愚かしく嘲笑う脚本、最高ですね。特に私が一番しびれたシーンはリンダが出会い系で一晩ともにし金まで盗られ、振られたさえない中年男性が最後の方でハリーと仲良く歩いているところを羨まし気に見ているかと思いきや、ちゃっかりまた別の女性としけ込むという意地悪な視点。コーエンさん、えげつなくてイイですよ。そしてユダヤ教信者(?)故設けた神の視点をCIA上層部が担い、最後に厳かに(?)彼らがすべてを処理して終えるという完璧な構成。導入と最後が人工衛星を使い空から地上をズームインし、エンディングは対象をズームアウトして閉じる神の視点のメタファーを用いる芸の細かさ。大いに堪能させていただきました。
【エリア加算】さん [インターネット(字幕)] 8点(2023-12-23 22:23:19)
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