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《ネタバレ》 -Duel- “(1対1の)決闘”。
確か初めて観たスピルバーグ監督作品だったと思う。日常よくある『路上での追い越し』から始まる、身も凍る恐怖。執拗な追跡。あまりにシンプルなストーリーに目が話せなくなった。どんな奴が運転しているんだろう?なんでここまでしつこく追いかけるんだろう?…どうなれば終わるんだろう? 決闘というタイトルだけど、主人公の車はあまりに非力だ。単純に大きさも馬力も違うし、ラジエーターに欠陥を抱えている。助けてくれる警察も呼べない。どう考えても勝ち目のない闘い。 結局、トレーラーの運転手の人相や目的を知ることなく映画は終わるが、幼いながらも不思議な満足感を得られた。この迫力ある映画が、ジョーズやE.T.を創った天才スピルバーグが、僅か25歳で初監督(厳密には違うかもだけど)した、しかもテレビ映画だというから、本当に天才っているモンだな…って感心してしまった。 この映画を観てスゴいって思う気持ちは今も変わらない。この映画の何が怖いって、トレーラーが怖かった。25歳の青年監督は自身の最初のオリジナル作品で、動物でも宇宙人でもロボットでも恐竜でもなく、トレーラーを恐怖の対象にした。'71年に。 最後まで姿を表さない運転手にでなく、人間の道具でしか無い貨物車両の方が怖い。幼い頃の私はどうして運転手の正体が気になったのか?それは『人間なら話せばわかる』とか『トレーラーには勝てないけど人間同士のケンカなら勝てるかも?』と思ったからかもしれない。 スクールバスを押すデイヴィッド。暗いトンネルの出口で静かに待つトレーラー。目があったかのように光るあの無機質な丸いヘッドライト。後のジョーズの目に感じたのと同じ恐怖。錆びついてレトロな車種のチョイスも秀逸だ。踏切でデイヴィッドの車を押す時の、絶望を感じる列車の長さ(助かる!)。上り坂でオーバーヒートしてぐんぐん落ちるスピードメーター(間に合う!)。観せ方が下手だと突っ込まれるところだけど、手に汗握ってソレどころじゃなかった。そして最後、運転手を出すことなくデイヴィッドが“トレーラーに”勝つのも秀逸。 トレーラーは映画開始5分で登場し、崖から落ちてすぐ映画は終わる。最初から最後までトレーラーに追いかけられる怖さで一本の映画にしてしまう才能。 初めてでコレ。 恐怖。 【K&K】さん [地上波(吹替)] 10点(2022-03-31 22:54:04)(良:1票)
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