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《ネタバレ》 “Salvador”スペイン語で『救う者』。男性名詞のElが頭に付いて国名『エルサルバドル』になる。プラトーンの大ヒットを受けて、オリバー・ストーン監督の一つ前の作品ですが、日本で劇場公開されました。私もプラトーンに衝撃を受けた影響で本作も劇場で観ようと思いましたが、上映期間が短かったため、レンタルビデオになりました。劇場で観ていたら、恐ろしすぎてトラウマになっていたかもしれません。ビデオでも充分怖かったです。今日まで再視聴しようって気にならなかったくらいですから、充分トラウマ級です。
戦争だと、敵と遭遇すると殺される危険性が理解できますが、内戦って、いつ、どこで、誰に殺されるかわからない。市民を殺しているのも右派の政府軍。こんな怖い国が、アメリカと地つづきで、騙された友人を乗せたボロ車で、ふらっと行ける距離にある。恐ろしいですね。ボイルたちがエルサルバドルに入国して以降、ずっとテンション張りっぱなしで観てました。 セジュラ(許可証)がないからと殺される青年も、処刑場の死体の山(新しいのから古いのまで)も衝撃でした。あまりに辛すぎて参ってしまいますが、友人ドクが清涼剤として機能していました。尻に注射打たれるシーンとか、いけ好かない女性リポーターの飲み物にLSD混ぜたりと、観てる私を救ってくれてます。 ボイルのアロハシャツにも注目です。南国とはいえ内戦で荒れた国に、能天気にも柄違いのアロハを6着ほど持ってきたみたいです。スマートでチャラい役のジェームズ・ウッズにアロハがとっても似合ってます。 また現地の恋人マリアも、ボランティアのキャシーも共にキュートです。エルピディア・カリロはプレデターでもヒロインやってましたし、シンシア・ギブは当時の映画雑誌(特にロードショー)の表紙に何回か出ていて、ダイアン・レインやリー・トンプソンと並び、新時代のアイドル的存在でした。それだけに、彼女たちに待ち受ける運命があまりに酷い。 キャシーを含む修道女のレイプはかなりショックです。当時ゴールデン洋画劇場で(このシーンも)放送されたので、記憶に焼き付いた人は多いかと思います。劇中キャシーの献身的な姿を観ているため、殺されると解って十字を切る姿、その後土の中から掘り起こされる無惨な姿が本当に痛ましい。この事件は実際に起きた事件で、最高齢のシスターは68歳だったそうです。 国境で殺されそうになるボイルが、間一髪助かった後、自分を殺そうとした連中と笑顔でビールを飲む。狂気です。この国の全てが病んでるって思えます。その病んでるちっぽけな小国の政府軍を、レーガン新政権が強力に支持していた事実。まだネットのない時代、まだ世界が広大だった時代。映画から学ぶことって沢山ありました。 【K&K】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2024-12-08 22:33:33)
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