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(2005年、劇場にて鑑賞時のレビュー)
昭和33年、「戦後」から「高度成長期」に移行する時代の東京を描いた作品。 その時代に少年時代を過ごした世代(ちょうど私の両親の世代)にとっては懐かしくて懐かしくて仕方の無い作品のようですね。 私は当然、当時を懐かしむような世代ではないのですが、そんな私にとっても「最高」と言える作品でした。 ここ数年のうちに観た日本映画のなかでは、間違いなくNo.1の作品です。 懐かしいはずがないのに、昭和33年の東京にのめりこんでしまいました。心を揺さぶられっぱなしだったのです。 何故こんなに心を揺さぶられたのか、改めて考えてみました。 敗戦の傷跡がまだ癒えきっていない、まだ貧しかった東京。 でも、当時は「夢」を見ていられる時代だったんですね。 たくさん働いて、たくさんお金を稼いで、三種の神器を手に入れる。 それは自分も家族も幸せになることであり、引いては日本の発展にもつながる、と信じていられることができた時代なのでしょう。 それに対して現代の日本は、夢を持つのが難しい時代です。 たくさん働くことも、たくさんお金を稼ぐことも、必ずしも幸せにつながるとは限らない。 それに、日本が発展することが本当にいいことなのかすら、わからない。 そんな閉塞感に満ちた時代に生きている私にとっては、この作品に出てくる人たちが夢を持って前向きに生きている姿が、とても眩しく見えたのです。 昭和33年という時代は、言ってみれば高度成長の黎明期です。 この時代の「物質的な豊かさをひたすら追い求める」スタイルが、その後の日本のライフスタイルとなり、現代ではそのボロが露呈してしまった。 だから、よくよく考えれば、この時代の人たちの「物質的な豊かさを求める姿」を手放しで賞賛することはできないはずなのですが、そんな理屈なんかどうでもいいように思えてしまいました。 とにかく、生き生きと生きる彼らは眩しいです。 閉塞した現代に生きる私に、元気を与えてくれる作品でした。 【りょうち】さん [映画館(邦画)] 8点(2021-02-02 23:26:20)(良:1票)
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