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《ネタバレ》 (2002年、劇場での鑑賞時のレビュー)
桐野夏生の小説「ターン」を平山秀幸が映画化。「弁当工場で働くパート女性たちがバラバラ殺人に加担する」というオドロオドロしいプロットですが、不思議と後味の良い作品でした。思えば平山監督の過去作「愛を乞うひと」も、「児童虐待」という暗澹たるテーマながら、観終わった後は不思議と爽やかさの残る作 品でした。平山監督は、重いテーマを描いてもどこかに希望を残しておきたい人なのかもしれませんね。 だいたい、風呂場で主婦らが死体を包丁でバラバラにしてしまうのだから、正視に堪えるものではありません。首を断ち切られた死体が転がっていたり、バラバラにした手や足をポリ袋に包んでダンボールに 詰めてたりするのだから、凶悪そのものです。それなのについニヤニヤとして観てしまう。 凶悪犯罪を犯しているはずの主婦たちがあまりに平凡で、そのうろたえっぷりが可笑しいんです。また、慣れてきた主婦たちが機械的に、まるで弁当屋での仕事のように手際よく死体のパーツをダンボールに詰めていく「作業」をしながら談笑するさまが、どこかズレていて可笑しいんですね。 そんな可笑しさを支えているのが、主婦たちを演じた原田美枝子や倍賞美津子、室井滋といった芸達者な女優たち。なかでも原田美枝子はさすがでした。誰もが認める大女優ですが、やはりこの人の演技力はずば抜けています。 意外だったのが、香川照之。竹中直人ばりの迫力演技では存在感がある役者だとは思っていましたが、さほど幅のある演技ができる役者というイメージはなかったので、この作品での抑えた演技での存在感には驚かされました。要注目の役者ですね。 重いテーマを娯楽作として描きながら、上質の人生賛歌に仕立て上げる平山監督には拍手を送りたいところです。そして、原田美枝子と倍賞美津子の水着姿には、10点満点をあげたい。 【りょうち】さん [映画館(邦画)] 7点(2021-02-02 01:05:34)
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