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約10年前に劇場で見て以来久しぶりに見返したんですが、前に見た時とほとんど評価が変わらなくてちょっとびっくり。まあ10年前の自分でも容易に理解できる程度の内容で、良いところもダメなところもある映画という感じです。一番ダメなのは佐藤直紀の音楽ですね。別にスケールが大きな話というわけでもないのに仰々しく却って安っぽく見えてしまいます。この映画にはオーケストラより無機質な電子音楽のようなジャンルが合っていると思います。撮影監督がいつも山崎貴監督と組んでいる柴崎幸三から阿藤正一に変わっているのはいいですね。中島哲也監督と組んでいることが多かったこの撮影監督の方がどこか冷たくスタイリッシュな世界観にマッチしています。一番感心したのはグロテスクな描写のバランスがいいところです。寄生獣の元ネタの遊星からの物体Xなんかを見ていても、あからさまに不快感を感じさせるために汚らしく内臓や血を飛び散らせる感じが好きではないのですが、この映画では人体の切断面は臓器と骨の層構造を美しく見せるアプローチが取られています。レイティングの問題もあるんでしょうがグロテスクでありながらもどこか美しさも感じられる、それはいわば生物の営みそのものでありこの作品のテーマを表現する視覚イメージとして適切だと思います。冒頭のニュースからIAEAに触れたり、さりげなく原発事故のイメージを挿入していますがそちらはあくまで触れているだけで作品全体のテーマにまで昇華できていると思いませんのでせいぜい努力賞と言ったところでしょうか。
【Сакурай Тосио】さん [インターネット(字幕)] 6点(2023-04-21 23:12:29)(良:1票)
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