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ドラマ性を廃して長回しで撮り続ければいつか映画の神様が降りてくるかもしれないという信仰が有効だった時代の産物ですね。しかしそんな迷信は素人がスマホで撮った映像が氾濫する現代ではもうほとんど効力を失っているのではないでしょうか。つまるところ映画というのはどうあがいても映されたものに人間の意図が働かざるを得ない創作物なのですから神頼みの前に人智を尽くすべきだと思います。リアルな風俗描写だけが取り柄で明確なメッセージがない作品に時代を超える力は宿らないでしょう。しかも銃乱射犯人たちのパートになるともうあからさまにカッコいい絵を撮ろうとする演出の意図が見えてきて全体のコンセプトすら貫徹できていません。どうしても事件の直接的な描写は劇的にならざるを得ないのでしょうが、ここでこそ抑えた描写をしないのは何かが間違っています。エリーゼのためにやナチスのような深読みさせるための要素をしっかり入れるのには苦笑いです。それに同性愛者とナチスを結びつけるとはなんと軽率な描写でしょう。説明不足のためにその意図が深淵であるように見えるだけで実はこの監督は事件とそれに関わった人間についてろくに理解していなかったのではないでしょうか。
【Сакурай Тосио】さん [インターネット(字幕)] 3点(2023-06-12 23:38:00)(良:1票)
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