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このあまりに難解で素晴らしい映画を、せん越ながら、私なりに解釈してみたいと思います。尚、9点としたのは、無限の解釈が存在する点と、首都高のカットがあまりにも長過ぎて、鑑賞2回目以降からは、トイレタイムとなった点からです(笑)。この映画がSFであるのは、原作うんぬんを抜きにして考えると、タルコフスキー監督がより話を解り易くしようとした為であると思います。それでも十分難解なので、勝手に病院を舞台とした庶民派ドラマとして説明したいと思います。変な所も多分にあると思いますが、どうぞお許し下さい。 {設定} 水=愛に満ちた人生の時間の象徴 惑星ソラリス=地球から遠く離れた人間更正病院 ソラリスの海=Drソラリス(医院長、宇宙一の名医だが少々荒っぽい) 宇宙ステーション=病棟 主人公クリス=自我のかたまり、自分以外の人を受け入れられず心に傷を負った患者、ある種のダメ人間(妻を理解してやれず自殺に追い込んだ、母とは幼い頃に死に別れ母の愛を知らない、父とはいまだ確執が生じたまま) 妻・母・父=非我の象徴 {物語}水が静かに流れる小川、水を満面と湛える湖、そんな美しい故郷を離れ、クリスはソラリス病院を訪れた。しかしそこで彼は、同じ病棟の患者が自殺したり、おかしくなってしまっていることを知り、かなり不安になる。そんなことお構いなしにDrソラリスは、早速荒療治を行う。自殺したはずの妻ハリーを蘇えらせるのだ。しかもハリーは自分の存在が何であるかを解っていない。他の患者からは「そんな治療法に付き合うと、お前もおかしくなるぞ」などと脅かされ、初めクリスは大いに戸惑うが、次第に自分の過ちを償うかのようにハリーを愛しはじめる。次にDrは催眠療法により、遥か昔に死んだ母を蘇えらせ、母の愛がなんたるかを体感させ、クリスは心を癒される(ここでハリーの荒療治は終了)。最後の仕上げにDrは、クリスをレプリカの父と向き合わせ、快復具合をチェックした。Drの思惑通りクリスは郷愁の念と共に、父との和解を果たした。完治したのである。その証に、家の上からは大量の水が激しく流れ落ちた。水は失われた家族との時間、これがクリスの前に涙の如く降り注いだのであった。 ・・・人間は<自我>と<非我>という二人の人の間で保たれる微妙なバランスの世界で生きている・・・
【クロマス】さん 9点(2003-02-06 02:34:16)
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