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これはドヌーブならではの作品です。満たされない何かを感じ、次第に没落していく主婦。しかし彼女自身は没落するどころか生き生きとしていき夫との仲も益々良くなっていく。ブリュニエル独特の雰囲気で表現された彼女の恍惚妄想シーン。彼女の幼少期に体験した(らしい)出来事や綺麗な自分を汚されたい(らしい)欲望等随所に散りばめ多くを語らずとも彼女が何ゆえの行動なのか、どう考えているのかをそれとなくわからせてくれる。ドヌーブは下着姿でも、ハイソな雰囲気の衣装でも十分にセクシーでその魅力を隠しきれない外見や、彼女が娼婦館で見せる恍惚の表情、昼と夜を演じ分ける二面性も魅力的。いかにも男性が喜びそうな主人公の描写は、こりゃブリュニエル自身の妄想では無いかと思えてきます。しかしながら時折女性的な観点も垣間見え(鈴の鳴る馬車でお出迎えされたり、直接的なエロ描写を控えたり)侮れません。いやらしい目で見ていた友人と娼婦館で鉢合わせた時、彼が「そんな君を見たいのではない。プライドの高い清楚な君が好きだった」(←確かこんなセリフ)というように彼女は常に周りから外見で判断されていた。そしてそれを幼少期に壊された(薄汚いおやじに触れられる)時新しい自分を見つけた快感を得たのでしょう。多少違ってるかもしれませんが、ここまで観客に感じさせる監督の手腕に拍手です。ラストで半身不随になった夫が突然全快するという現実か虚構かをうやむやにする事で、この物語自体が果たしてどこからどこまでが彼女の現実なのかすら煙に巻くという見事なアッパーカットを食らわせてくれました。やっぱドヌーブはこうでなくっちゃ。
【さかQ】さん 7点(2003-03-19 02:12:15)(良:1票)
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