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【クチコミ・感想】
6.増村保造監督が自動車業界を舞台にメーカー同士の争いを描いたサスペンスで、この後大映で連作される「黒シリーズ」の第1作。体調があまり良くない状態で見たのだが、メーカー間のスパイ合戦やラストの高松英郎が船越英二を問い詰めるシーンなどなかなか緊迫感にあふれていて面白かった。ある業界のメーカー同士の争いを描いた増村作品というと「巨人と玩具」があるが、この映画でも高松英郎はかなりテンションの高いキャラを演じていてちょっと「巨人と玩具」と被って見えるが、やはりとてもはまっていて良かった。会社のためなら恋人も平気でスパイとして送り込むところは何か怖かったが、己のためなら他人がどうなろうとかまわないという人間の身勝手な態度はじゅうぶん現代にも通ずるような感じでさらに怖く、社会派サスペンスとしては今見ても映画のメッセージ性が失われていないと感じる事のできる見ごたえのある映画だと思うものの、一方で増村作品としてはさきほど書いたスパイとしてライバル社に送り込まれる田宮二郎の恋人を演じる叶順子の描き方にそれらしさを感じさせるものの、ほかの増村作品と比べるとその描き方がなんか弱いような気がするし、何か物足りなさも残る。そうそう、田宮二郎の単独主演作を見るのはこれが初めてだと思うが、どう見ても高松英郎が主人公のような感じなのもちょっとびっくりした。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-01-21 13:52:50)
5.「タイガー自動車」は日産に吸収される前のプリンス自動車をモデルにしているらしく、試走車のモデルは同じくイタリアのデザイナーがデザインしたスカイライン・スポーツ。というのはどうでもいいのだが、原作ありきとは言え、男たるものは仕事に生きなければならないとでも言いたげな強烈な企業戦士ぶりは『巨人と玩具』に通じるところがある。戦後の高度経済成長の中で仕事に命をかける男たちに本当に大切なものは何かを問う。思えば増村映画はほとんどここに落ち着く。「本当に大切なものは何か」に。大切なものに導くのは女である。愛に生きる女だ。ああ、いかにも増村ではないか。ベタベタに増村ではないか。増村映画の「濃さ」の原因は、この前時代的な「愛に生きる女」にある。それらを臆面もなく堂々と登場させるのが増村。イタリア帰りが成せる技か。このストレートさはたしかに邦画において異色であるが、けして異色を狙っているのではないところが良い。 【R&A】さん [DVD(吹替)] 7点(2009-08-19 16:37:43)
4.相変わらず増村映画に出てくる男達はいつもギラギラしていて、常に冷静さを失っていて感情を表に出す姿が炎々と描かれる。しかも、決まってハイテンションである。中でも高松英夫のテンションの高さはここでも異常なぐらいである。会社の為とはいえ他人を犠牲にし這い上がろうとする連中きりの役員達、ライバル会社との駆け引きの中で男達に関わってくる女達とのドラマという意味で今作は増村監督にしては普通な感じでこの監督らしいしつこさがちょっと弱く思える。田宮二郎と船越英二の使い方も何だか勿体無く思えるのと終わり方も何だかいまひとつな気がしてならない。モノクロの画面から伝わってくる人間の身勝手さ、他人はどうなろうと自分さえ助かれば何もかも上手く収まるんだとまるで現代の社会に対する警告、皮肉のようなものは見ていても感じることは出来る。そういう意味においては見応えはあるものの、やはり増村作品らしい何かこう見終わった後にまた見たくなるようなもの、余韻のようなものがさほど感じられなかった。 【青観】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-08-31 14:36:11)
3.テーマ的に同監督の「巨人と玩具」と兄弟みたいな作品ですね。語り口が全然違う両作品でほとんど変わらない役柄を演じて、どちらにもぴたりとはまっている高松英郎はある意味すごいかも。 【KYPA】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2007-01-14 20:07:30)
2.「タイガー」自動車が開発中の新車は「イタリア」でデザインされた「パイオニア」号、ライバル社は「ヤマト」自動車で、そこの部長はバー「パンドラ」の常連ときている。とくれば、これはイタリアで学んだ増村保造が、ヤマト=日本映画を打ち破ろうと、自らがそのパイオニアとなり、まさに虎としてパンドラの箱をぶっぱなしてやろうという意欲に満ちた作品と見ることができる。湿った情感をいささかも露呈させることなく、産業スパイ、からむ女たちを捉えたフィルムは、船越英二のとった行動になんの表情も変えない連中をもってピークに達する。ここでようやく田宮二郎に亀裂が生じるもつとめて冷静である。ストーリィには突っ込みを入れたくなりもするが、このクールな文体・・・まいったな~こりゃ。 【彦馬】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-06-16 21:23:19)(良:1票)
1.お先に書き込みすいません。自動車メーカー間のスパイ競争を描き、なかなか見応えあるものとなっています。田宮二郎、船越英二、高松英郎とキャストもなかなか良い。モノクロというのがより一層スパイものを盛り立てていました。ただ女として自分の恋人からライバルの元に送られ、寝て来いみたいなことを言われる程悲しいことはないでしょう。だけどそんなことをされても、朝比奈が落ちぶれて帰ってきてきた時、迎え入れることができる昌子の懐の広さというのはすごい。なかなかできないことでしょう。高松英郎がなかなかよかったです。 【fujico】さん 7点(2004-01-12 09:33:11)(良:1票)
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【点数情報】
Review人数 |
10人 |
平均点数 |
6.90点 |
0 | 0 | 0.00% |
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1 | 0 | 0.00% |
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2 | 0 | 0.00% |
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3 | 0 | 0.00% |
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4 | 0 | 0.00% |
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5 | 0 | 0.00% |
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6 | 4 | 40.00% |
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7 | 4 | 40.00% |
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8 | 1 | 10.00% |
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9 | 1 | 10.00% |
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10 | 0 | 0.00% |
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【その他点数情報】
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