みんなのシネマレビュー

ナビゲーター ある鉄道員の物語

The Navigators
2001年【英・独・スペイン】
ドラマ
[ナビゲーターアルテツドウインノモノガタリ]
新規登録(2004-05-10)【かんたーた】さん

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監督ケン・ローチ
音楽ジョージ・フェントン
撮影バリー・アクロイド
あらすじ
1990年代はイギリス中部の地方都市。英国鉄の民営化に伴い、この田舎の保線区にも合理化の波がやってきた。鉄道員たちは全員、民営会社へ移籍。やる事は変わらないがルールは変わった。競争原理の導入、作業の外注化、組合の解体…そして、変わるはずのなかった彼らナビゲーターに、少しづつ亀裂が入り始めるのだった…。社会と人、人と社会インフラのデリケートな関係を、切ないペーソスを交えて描く社会派ドラマ。

エスねこ】さん(2009-01-02)
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【クチコミ・感想】

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2.偽りようのない技術の真実を、ユーモアに包んでソッと差し出す。ジャズがとても心地よかった。
これに10点をつけずにどうする! …て気がするけど、とりあえず9点。

色のバランスがイギリス風にメカニカルな映画だ。画面の中で、常に白と青とオレンジがせめぎ合う。そして白い部分が、クライマックスでは全て闇に。この画面設計の意味がまだわからない。オレンジを赤に変えれば、この3色はユニオンジャックの構成要素。そして赤は血の色だ…ここまでは気付いているんだが。とにかく画面を圧迫する青が圧倒的で、美しい。ちょっとハネケ風の解釈をしたくなるかな。

内容はもう、技術的に足腰の弱っている現代社会の裏側、どうして病巣が広がったかというメカニズムを切り出した「再現ドラマ」だと言っていい。
福知山線の事故に留まらず、佐世保造船の大火災、福井原発・もんじゅの事故、北見のガス漏れ…全て源泉はここにあって、我々は安全な社会に住んでいるわけではなく、安全と報告されている社会に住んでいる事がよくわかる。社会インフラの保全技術はもう崩壊寸前で、あと1世代保てばいい方じゃないだろうか。
ケン・ローチはこの世界同時多発現象の根に、「連帯の崩壊」を置いた。
新人だった頃、とあるシステムに参加した事がある。こいつが10年後に事故った。もう独立して全然違う仕事をしていたが、原因がわかるまで飯が喉を通らなかった。3日くらいだったと思う。以来、人の命を預かるモノをやる時は、納得が行くまで上部組織に噛み付き続けるようになった。もちろん事故があって電話が来たら、何をしていても即座に飛べるよう日々覚悟をしている。でも結局、何かあっても個人にやれる事なんてたかが知れてるのだ。疲労困憊して、いつの間にか人情をなくし、自己保身に走っている自分に気付くのがオチだ。
ローチは人が人でなくなっていく、白が暗黒に塗り込められていく過程を批判的に描いているが、時代はまた巡るだろう。誰もが責任を持っている。それが「仕事」に対してではなく、「社会」に対してだと、再びみんなが気付く日が来るのを信じて、今も生きている。ちょっと愚かになってしまったシステムだが、捨てたもんじゃない。設計を見直せばまだまだイケる。

●追記:
調査不足でした。この映画、凄いわ! 詳しくは小ネタ欄に…。 エスねこさん [映画館(字幕)] 9点(2007-05-18 15:21:56)(良:1票)

1.1993年に始まる英国鉄道分割民営化の過程を、ある保線区の鉄道員達の視点を通して描く労働者映画。厳しくなる一方の労働条件、歯が抜け落ちる様に退職していく仲間達、毎月の様に変更される企業方針や社名、そして外注化されていく、鉄道の安全を下支えする保線業務等、効率化の名の下に行われるリストラの実態が淡々と、リアルに描写されていく。やがて鉄道員達は、その誇りさえも捨てざるを得なくなる。ここに描かれることは、今回のJR福知山線事故と根っ子は同じ。特に事故電車に乗り合わせてた運転士2名が、現場に残らずノコノコ出勤したという事実は、何よりも利益を優先する体質が、誇り高き鉄道マンをセコイ作業員に貶めてしまう実態を如実に現してたと思う。失敗に終わったとされるイギリスの民営化に対し、成功と言われてる我が国の民営化ですけど、果たしてそうだったのか、今一度立ち戻って考える時期に来ているのかもしれません、7点献上。 sayzinさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-05-25 00:09:49)

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【点数情報】

Review人数 3人
平均点数 8.00点
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